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2014年10月11日 (土)

脳波センサーの配置「10-20法」の図をリニューアルしたことのご報告に代えて。

弊社が発売したヒット商品の一つに万能脳波センサー「エンフレック」というものがある。

弊社が販売している各種脳波測定器はバイオフィードバック訓練を行うことを目的に開発されている。よって、付属の脳波センサーで測定できる部位は額の左右どちらか一カ所だけだ。

前額部のα波を意思によって増強できるように訓練する。この能力を体得すると、ビジネスやスポーツ、あるいは勉学などの様々な場面でハイパフォーマンスを発揮できるようになる。

このような訓練には、意思や創造性を司る前頭前野(額部)の脳波をフィードバックすることが適当だからだ。

しかし、脳波測定器の購入レンタル脳波測定サービスなどで弊社をご利用下さるユーザーやお客様は、バイオフィードバック訓練よりも研究を目的とされる場合が圧倒的に多い。

研究者からは、前頭前野だけではなく様々な部位を測りたいという要望がある。高性能簡易型脳波測定器でそのニーズに応えたのがエンフレックである。さらに、瞬きや筋電の影響を受けにくい部位にセンサーを当てれば、開眼時や軽い運動時の脳波も測定することができる。お薦めの部位はFzである。
                                           
測定部位とそれを表す記号は、「10-20法」として国際的に統一されている。その図を先月リニューアルしてNOWHADASに掲載した。エンフレック共々、脳波探究の一助になれば幸いである。
Web1020ueblog600

脳波を指標としたバイオフィードバック訓練(ニューロフィードバック訓練)や脳活動の研究では、上述の「測定部位」の他に、脳波波形の評価方法も当然ながら重要である。なぜこんな当たり前のことを言うのか・・・、それには理由がある。

実際にFp部位の脳波を測るとすぐに分かることだが、同じ閉眼安静時でも、「リラックスしているとき」と「何か気掛かりなことがあるとき」では波形が違うのが普通である。前者ではα波が優勢で、後者ではβ波が優勢である。

安静状態から作業に移ったときにも、優勢脳波はα波からβ波に変わる。

この事実から安直に「β波が脳の活性と集中」の脳波であるとするニューロフィードバック装置が4,5年前から目につくようになった。多くは指標としている脳波(周波数)を開示せずに販売しているからたちが悪い。

このブログでも以前から警鐘を鳴らしているが、集中力訓練の指標にβ波を使ってしまうと益々凡人になってしまう。β波は凡人が集中したときに優勢となる脳波なのである。

よって、凡人(一般の人)が利用するマンマシンインターフェース(脳波でPCや車いすを操作したりするシステム)に常在脳波(定常波)を利用するなら、β波を用いるのも理に適っている。

しかし・・・

α波が自己統制訓練の指標に用いられてかれこれ50年になる。日系アメリカ人のジョー・カミヤ氏らの「禅僧の瞑想脳波研究」などを切っ掛けに発展してきた。私が20代の頃、同氏が東京女子医大でバイオフィードバック訓練に関する講演をされたのを聴講し感銘を受けたのを今でも鮮明に覚えている。

弊社が主宰するファインブレイン研究会が測定してきた精神コントロールの達人達の脳波を「脳波研究・・・本物は脳波に表れる!」及び関連ページに紹介しているので参考にして欲しい。達人達の脳波は、単にα波優勢ということに留まらず、そのボルテージが非常に強い。

この本流の発展を、最近のニューロフィードバック装置の一部が台無しにしているのだ。もちろん、本当に“台無し”になってしまうことはないが。

物事に集中するとき、凡人はβ波が優勢となり、達人はα波が優勢となる。だから、凡人が集中力訓練をするなら、α波を指標とすべきなのだ。

もしかすると、あなたは“リラックス”と“集中”がα波という一つの指標で語られることに納得がいかないかもしれないので、以下に“集中”の定義めいたことを述べておきたいと思う。

測定部位は前頭前野に絞ろう。“ヒトを人たらしめる”働きがこの部位で行われているからだ。

莫大な量とスピードをもって処理される脳内情報のほんの一部が前頭前野に流れ込んでくる。その情報を以て人は環境を認識し自ら(無意識)の判断も理解する。逆に、前頭前野の方から情報や行動の方向性をリクエストする働きもある。

ここで強調しておきたいのは、「情報量もその処理スピードも圧倒的に無意識の領域が勝っている」ということだ。

顕在意識(前頭前野)と潜在意識の比較を私はよく乗馬に喩えて説明する。セミナービデオ「成功する自己操縦法」で縁のあった人もいるだろう。

顕在意識が騎手で、潜在意識が馬である。

大きな力とスピードと野生の勘を持つ馬に委ね、騎手はそれを見守りつつも方向性を指し示す。そんな「人馬一体」の境地は最高に気持ちが良く、成果も大きい。

このような状態のとき、前頭前野はα波が強い優勢になっている。弱い優勢の単なるリラックスではなく、強い優勢の弛緩集中状態だ。

馬を手なずけることもできずに、あるいは馬の意図を理解しようともせずに抗っても、騎手が馬に継続的に勝つことは絶対にない。顕在意識と潜在意識の関係も然りである。

ところが凡人は、潜在意識に委ねることを忘れ、顕在意識だけで物事を処理しようとする。そんな凡人の前頭前野はβ波で満たされている。

本来の「意識集中」とは、顕在意識が潜在意識に抗って(一見)頑張っている状態ではなく、人馬一体の境地を実現している状態なのである。

顕在意識が緩んでいるときでも、脳全体では重要で大きな活動をしていることがある。否、むしろそのような場合の方が多い。

顕在意識が課題について徹底的に考え抜いた後、意識の緊張を抜いてぼんやりしているときに潜在意識がその問題を解いて閃かせる。こんな例は古今東西枚挙に遑がない。

瞑想や閃きの他にも、記憶の想起や高速暗算、効果的なイメージトレーニング、自己治癒力の活性化などでα波が重要なことはよく知られている。

脳が活動するためにはブドウ糖と酸素が必要であり、それを運ぶのが血液である。よって、課題に取り組んでいるときの血流が盛んな部位を特定できれば、脳機能の役割部位を知ることができる。

この測定に用いられる装置がfMRIや光トポグラフィーである。とても分かりやすく視覚化できるので、脳研究の発展に大きな功績を残してきている。

fMRIを使った一連の研究の中で、マーカス・レイクル氏(ワシントン大学セントルイス校の教授)らは興味深い事実を発見した。それは、「被験者が何らかの課題に取り組んでいるときではなく、逆に“ぼんやり”しているときに活性化する部位がある」ということだ。

このような部位を、レイクル氏は“デフォルトモードネットワーク”(Default Mode Network)と名付けた。この論文が発表されて以降、fMRIを使った研究においても“ぼんやり”しているときの脳内ネットワーク機構の研究が盛んに行われるようになり、多くの知見が確立されてきている。

レイクル氏が名付けたデフォルトモードネットワークは、脳の基底時(ぼんやりしているとき)に機能する自律的な一つのネットワークを指しているが、現在は他にも様々なニューラルネットワークが発見されている。

6月22日にNHK Eテレ「サイエンスZERO―“ぼんやり”に潜む謎の脳活動―」が放送され、大きな話題を呼んだ。NHKオンデマンドで番組を視聴できる。
http://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2014055528SA000/

同番組で紹介された脳に関するその他の関連情報を以下に記しておく。

1.人が一日に消費するエネルギーは2000kcal。
2.400kcal(全体の20%)を脳が消費している。脳の重さは体重の2~3%なのに。
3.400kcalはご飯大盛り一膳分。
4.意識活動に使うエネルギーは、脳全体が使うエネルギーの5%。
5.脳細胞の維持と修復に使うエネルギーは、同じく20%。

残りの75%の脳内エネルギーが脳のどんな働きに使われているのか、エネルギー消費を手掛かりにその働きが見えてくれば、瞑想体験や閃き、記憶の想起、高速暗算、効果的なイメージトレーニング、自己治癒力の活性、あるいは精神疾患機構などが更に詳しく解明されるだろう。

顕在意識が一見ぼんやりしているとき、脳はデフォルトモードネットワーク様の重要な働きをしている。Fp等部位の脳波でいえばα波優勢だ。この状態をαモードと呼ぶ。

繰り返すが、人馬一体となって取り組んでいるときはとても気持ちよく充実している。当然成果も大きい。このときの顕在意識は自分を見守り、ゆるく方向性を指し示している。もちろん、無意識の意図に耳を傾けながらである。

この在り方は、自律訓練法でいうところの“受動的注意集中”と非常によく似ている。

意識状態を脳波で判定する場合は、測定する部位、測定した波形の振幅(強さ)や波長(周波数)の他にも、基線からの傾き変動や事象関連電位などが手掛かりとなる。また、波形が律動的(正弦波のような波)かも重要な判定材料である。

αモード時の脳波波形は律動性が非常に高い。被験者が人馬一体、受動的注意集中を実現していると判断できる。

しかし、この律動性はαモードだけではないことも分かってきている。ファインブレイン研究会で精神コントロールの達人(気律脳波の達人)の脳波を測定すると、α波ではなくスローγ波(具体的には32Hz付近)でこの律動性が現れる達人がいるのだ。

α波の3分の1という短い波長で律動できるということは、強い自己統制能力を有し、かつ情報処理能力も高い状態であると思われる。

トータルセッションでクライアントの目標達成をサポートする際、クライアントのJRをしっかりと支援することを私は心掛ける。

事前に十分なJRを積んだクライアントは、本番で人馬一体の境地となって成功する。

JRの必要がないのはごく僅かな天才だけだ。たとえ天才でなくとも、JRさえ怠らなければ天才同様のパフォーマンスを発揮できる。潜在能力は同じようなものなのだから・・・

JRとは、“準備”と“練習”である。

天才は、そしてJRを積んだ人は、本番であれこれ考えることはしない。

冗文を綴ってきたが、ご研究の端緒になれば幸いである。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/

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