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2017年4月18日 (火)

脳波による睡眠判定の考察。テレビ朝日「なら≒デキ」からのオファーで、僧侶の正座睡眠の挑戦を観察して。

2月24日、テレビ朝日の番組「なら≒デキ」から電話が入った。

番組名「なら≒デキ」は、「プロにムチャぶりバラエティ ○○なら××デキるはず」の略称だ。

弊社に脳波測定の相談があった今回のテーマは、「お坊さんなら正座したままぐっすり眠る事がデキるはず」だ。

普通の挑戦なら、「瞑想しても眠らない(ウトウトしない)」であろう。しかし今回は、「ぐっすり眠る」ことに挑戦するというのだ。

僧侶だから結跏趺坐は楽に組めるだろう。それを「正座で」というのがハンディキャップなのである。正座がハンデになる理由は、“足が痺れる”こと、そしてもう一つの理由は後ほど紹介する。実際、この後者の理由が大きなハンデとなった。

撮影場所は、映画「男はつらいよ」の舞台である柴又に近い高砂の崇福寺。撮影日の3月3日は清々しいほどに晴れ渡っていた。
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以下、オンエア画像を引用しながら振り返る。

挑戦するのはこのお寺の副住職、水上昇真氏。正座したまま寝た経験があるのだそうだ。
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脳波測定は、脳波解析PCアプリ「パルラックス・プロ」で部位Fp1を、「パルラックスF」で部位Fp2を観察した。部位については、国際脳波学会が提唱する10-20法に基づく電極配置に紹介している。
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画面左のウィンドウが「パルラックス・プロ」で、Fp1の生波形、スペクトル折れ線グラフ、スペクトル棒グラフを表示した。画面右は「パルラックスF」で、Fp2の分布グラフを表示させた。
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脳波解析のモニターは一部屋を挟んで10メートルほど離れたところにセットした。通常なら被験者の様子を映すモニターもあるのだが、今回は解析モニターだけの設置となった。
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出演者による「デキる」「デキない」の予想数は半々だった。
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分布グラフを見ると、ペンで指している時刻からアルファモードになっていることが分かる。よって、目を閉じて気持ちも落ち着いてきたと推察できる。
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この後1時間を越える挑戦が続き、途中ちょっとしたハプニングもあった。

本番組は、民放公式テレビポータル「TVer(ティーバー)」で明日(19日)まで視聴できるので結果はそちらで確認頂くとして、入眠を妨げ続けたもう一つの理由(壁)を、番組で提示された以外のグラフを用いて紹介しよう。

このスペクトル分布グラフは、睡眠深度がステージ1(入眠期)であることを示している。弱いシータモードで、生波形だと漣(さざなみ)のように見えるから、これを漣(れん ripple)波期と呼ぶ。いわゆる半睡半覚である。
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しかし、立ちはだかる壁によって結局覚醒に戻された。

もう一つのグラフを紹介しよう。これは生波形だが、時たまこのような2相性の瘤(りゅう hump)波が現れた。すなわち、睡眠ステージ1乃至2(入眠期~軽睡眠)だ。しかし、完全な睡眠ステージ2に入ったことを示す紡錘(ぼうすい spindle)波の出現までには至らなかった。
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まどろみ状態には達したものの、そこから睡眠サイクルの軌道に乗れなかった理由は何か? 正座というハンデが生じさせた“足の痺れ”ともう一つの原因は?

それは、抗重力筋の弛緩による“体勢崩れ”である。

この実験では被験者の様子を撮影したモニターがなかったので断定できないが、恐らくは、「姿勢が崩れそうになって覚醒する」を繰り返していたのだと思う。

オンエアされた動画でも私が言っていた「電車の中で居眠りしている状態」を想像すると分かりやすいだろう。

隣の人の肩に寄り掛かりそうになったり、よだれが落ちそうになって目覚める状態だ。

この壁を乗り越えて睡眠ステージが3(中等度睡眠)、4(深睡眠)、REMのサイクルへ進むと睡眠である。

座禅本来の座り方である“結跏趺坐”ならばこの壁は乗り越えやすかったかも知れない(もっとも、瞑想中に乗り越えてはいけないのだが・・・)。正座では重心が高くなってしまい、床との接地も不安定であるから、睡眠へのハードルが高いのだ。

ただ、今回のシチュエーションでは睡眠判定基準が少々厳しすぎたかもしれないとも考えている。

安定した結跏趺坐でゆっくりと身体を揺らしながら禅定の準備を整える方法を道元禅師(日本曹洞宗の開祖)が説いている。拙著「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」の第十鍵「ゆるし」でも触れているので、ゆるしの瞑想に興味があるならば参考にして欲しい。

本番組のシーンを、いつものように「テレビ番組協力実績紹介」ページに掲載させて頂いた。

感謝。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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