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2017年5月 9日 (火)

セルシネの脳波測定サービス、“脳コン解析”への30年の軌跡。そして、これからの挑戦。

早いもので、私が脳波測定を始めて30年が過ぎた。

私の仕事は、様々な分野で頑張っている人達の能力開発をお手伝いすることだ。セルシネのトータルセッション

能力開発は、イメージトレーニングが効果的だが、その効果にはぶれがある。なぜなら、それを実践する本人の脳コンディションに左右されるからだ。

的確なトレーニングを指導するためには、本人の脳コンディションを客観的かつ正確に知る必要がある。そのために、脳波を測定する。

10年ほど前からは、ニューロマーケティング(商品に対する消費者の印象を脳の反応から直接分析し、販売に繋げようとする取り組み)や従業員のメンタルヘルスの分野でもご用命を頂くようになってきている。

ドイツの神経科学者/精神科医のハンス・ベルガーが人の脳波を初めて計測したのが1924年と言われるから、人類としては93年が経ったことになる。

今でもそうだが、1ボルトの百万分の1という微弱な電位の計測は、相対的に巨大なノイズとの戦いである。ベルガーが脳波の研究を発表したときには、そんな脳からの信号があることなど、とても信じてもらえなかったそうである。

1935年には日本でも脳波計が試作されはじめ、1951年には国産第1号の臨床用脳波計「木製号」が製作された。この写真は、千葉県の医科器械資料館に展示されていた「木製号」と一緒に記念撮影した2008年当時のものである。
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私は21歳のときに脳波測定器「クラウス1000PF」を購入した。この測定器だけなら20万円ほどで購入できた時代だ。セットされていた教材も含めると約70万円した。
Blog2017592


脳波の中で10Hz前後のα波だけに絞った測定器で、センサーはおでこの左(Fp1)か右(Fp2)の1箇所だけに当てる仕様だ。いわゆるバイオフィードバック装置で、最近はニューロフィードバックとも言われるマシーンだ。

α波の強さを音のトーンやインジケーターで表示されるので、徐々にα波の出し方を体得できるというものだ。但し、言うは易く行うは難しで、相応の集中的トレーニングを要する。

左側には自己啓発の内容が録音されたカセットテープを入れ、スイッチをONにすると、α波が設定以上の強さで出たときにだけ再生されるという機能があった。すなわち、脳が学習効率の良いときにだけ音声を再生する訳だ。

これを購入した数ヶ月後には、この会社の門を叩いた。株式会社エス・エス・アイ SSI脳力活性研究所である。

入社すると、次期モデルの脳波測定器「クラウス2000PF」が丁度発売されるところだった。私の最初の仕事は、この「クラウス2000PF」のメンテナンス技術を習得するために、製造メーカーである日本通信機株式会社に通うことだった。

「クラウス2000PF」は、「クラウス1000PF」の脳波(α波)フィードバックに加え、皮膚の温度と電気抵抗、そして脈拍数の計4つの指標があった。様々な生理指標を用いて、自律神経をも統御する能力開発を目指したものだ。

「クラウス2000PF」のメンテナンス教育期間を終え、一人技術部としてSSI社で色々と使用試験をしているときに、それこそ椅子からひっくり返るほどのビックリ体験をした。

脳波センサーを頭に巻き、脳波センサーのプラグを別の指標のジャックに順番に差し込んでいるときだ。プラグを差し込んだ瞬間にもの凄い衝撃が頭を直撃した。その電気ショックで頭が後ろに“ドンッ”と倒され、椅子から転げ落ちそうになったほどだ。

メーカーの営業担当者に伝えると、その表情と顔色が一気に変わった。まだPL法(製造物責任法。1994年成立及び施行)がなかった時代だが、ユーザーに起こったら大変な事態であることに変わりはない。それこそ命にかかわる事件となる。

脳波センサーを他のジャックに誤挿入しない加工がすぐに施され、既に購入しているユーザーには善後策がとられた。

次に販売された「クラウス3000PF」では、α波の帯域を3つに分けて、α1はスローα波、α2はミッドα波、α3はファストα波と呼ばれた。さらに、β波とθ波も測定できるようになった。

このように様々な周波数を細かく分けて測定しながら被験者の精神状態を観ることで、経験則的にその特徴が分かってきた。また、専用の脳波解析PCソフト「パルラックス」で細かく分析し、そのデータも保存できた。

経験則的な各脳波の特徴は、脳波関連ポータルサイト「ノウハダス」の「脳波の種類」コーナーに掲載している。

このような脳波解析システムをSSI社では数百人/月のオーダーで販売していたので、ユーザーサークルには沢山の測定データが集まった。

「脳波の種類」コーナーに掲載しているように、脳波の優勢周波数(一番強く出ている周波数の脳波)によって、被験者の精神状態が分かる。
Blog2017593


さらに、脳波のバランス(各々の周波数の含有率)によっても被験者の状態を推察できるようになった。その研究成果を形にしたのが、1999年に発売された「クラウス5000C-PF」とそのPC解析ソフト「パルラックス2」である。
Blog2017594


脳波の各周波数のバランスから脳コンディションを導き出す計算式は以下の通りである。

◆分散緊張=β
◆リラックス=α1+θ/2
◆集中=α2+α3/2
◆眠気=θ

表示の順番は、周波数に合わせて「分散緊張」「集中」「リラックス」「眠気」とすべきなのだが・・・

評価式の詳細は、「パルラックス2」の後継モデル「パルラックス・ライト」紹介ページに掲載している。

現在は、2012年に発売された脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」によって、さらに細かく脳波のバランスを観察でき、そのバランスから被験者の脳コンディションを推察できるようになってきている。
Blog2017595
脳コンディションとは、例えば、ぐっすり、まどろみ、ゆったり、すっきり、はっする、せかせか、好集中(達人集中)、分散緊張(凡人集中)、オープンマインド、睡眠深度(レム睡眠、ノンレム睡眠 等)、聡明、リラックス、ストレス、ハイパフォーマンス等々だ。

測定データをExcelに入力して、脳のコンディションを導き出す。
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脳波をFFT処理した後の定常波(δ波、θ波、α波、β波など)のみならず、生波形(RAWデータ)も手軽に観察できるので、今後は事象関連電位(P300、CNVなど)や睡眠脳波の分析にも注力していきたい。

明日には脳力開発研究所から新型ニューロフィードバック装置「アルファテック7」が発売される予定だ。少し遅れるかもしれないとのことだが、実際に手にとって確かめて、有用ならば弊社サービスにも導入したいと思っている。このマシーンは、我々脳波研究家にとっても価値ある道具になると思う。

ありがたいことに、私一人で活動しているセルシネ・エイム研究所には、個人や同好会、大学、企業、テレビ番組と様々なお客様から脳波測定に関するオファーを頂いている。

サービス名称は、これまでの「脳波測定サービス」を変更し、今月4日から「脳波測定/脳コン解析サービス」とした。正確な測定技術にとどまらず、脳のコンディションを導き出すオリジナリティを訴求するためだ。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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