能力開発と相性の良い業界?
昨日は、横浜パシフィコで10時間に渡り開催されたあるイベントに顔を出した。4000人が集まったそうだ。
イベントとは、MLM(マルチ・レベル・マーケティング、いわゆるネズミ講形式に商品を流通させているもの)組織の表彰式 兼 勧誘 兼 講演会だ。
私のような仕事をしていると、この種の団体からたまにお誘いが掛かる。口八丁手八丁と人脈で、子ネズミの増産と教育(MLMに関わり続ける動機付け)を期待してのことだ。
MLMには全く興味がない私だが、「金儲け」の類の本が売れている著者と永年能力開発業界にたずさわっておられる社長がジョイントで講演されるというので、一度は拝見しておきたいと思って参加してみた。私を誘ってくれた友人もそれが目的だ。
「既成概念を破れ」「積極的にチャンスを掴め」「選択し決断しろ」とまあ、能力開発でよく聞く言葉が連呼されているのが印象的だった。
しかし、私が上述の言葉を使う意味と、このイベントで聞いた同じ言葉には明らかな違いがある。それは、MLM関係者が使う場合は、(当然のことだが)MLMに入会?することが正解となる。
「選択」とは、本来は「多くの選択肢の中から自由に選択すること」を意味するのだが、MLM関係者が使うときは「MLMに入会すること」一つを選択しろと言っているのだ。そこには選択肢がない。「既成概念を破れ」も「今どきのネズミ講なら大丈夫、『ネズミ講は悪』との既成概念を破れ」と言っている。「積極的にチャンスを掴め」も「今すぐMLMに入会しろ」と言っている。
冷静なときなら誰でも分かることだが、表彰式の高揚感や親ネズミの熱意に刺激されて、いつの間にやら理性が効かなくなってしまう。正しい言葉も、それを発する側の目的(受け側の選択肢)が一つに絞られているならば、それは“洗脳”と変わらない。
このイベントを主催したMLMチームのトップは、今回講演された能力開発トレーナーの受講生で、MLMのメンバーもどんどん能力開発トレーニングに送り込んでいるそうだ。トレーナーからすれば、可愛くてしょうがないだろうなーと思う。なかなかここまで有言実行できる受講生はいないのも事実だから。
ナポレオン・ヒルとアムウェイの関係から始まって、能力開発業界とMLM業界の相性は非常に良い。しかし、そこには落とし穴が見え隠れする。商道徳を逸脱する“表現”もまかり通っている。
確かな眼力を持って、地に足をつけた人生成功を歩みたいものだ。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/
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