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2010年3月19日 (金)

『凡人集中』と『達人集中』

脳波測定の分野が活況を呈している。

自動車メーカーが脳波で車椅子を操縦できる技術を開発したり、大手電機メーカーがアメリカの低価格脳波測定器を基にした商品(わずか数万円で購入できる予定)を発表したりと、毎日のようにマスコミを賑わしている。

セルシネが絡んだ番組も、今週末から再来週に掛けて4局で順次オンエアされる。そのうち2つの番組では私自身も出演する予定だ。オンエア情報はセルシネ・ニュースで確認できる。

ところで、数万円のマシーンで正確な脳波が測れるなら、セルシネのビジネス展開にも何らかの形で導入しようと考えている。今の数十万円の測定器とはガラッと変わったサービスを併設できると思う。

マスコミ関連の話しに戻るが、・・・特に、バラエティ番組からのオファーは、数年前の私ならお断りしていただろう内容が殆どだ。測定環境は厳しいし、そもそも脳波の扱いや解説にも「?」・・・となる。

でもこの半年間バラエティ番組に携わってみて、逆に脳波に関する固定観念が私にあったことに気づいた。それは、測定方法であったり、表示方法(見せ方)であったり、測定結果の解釈などである。

今週火曜日に番組制作会社から電話があった。「明日の収録で脳波測定器を使いたい」と。脳波測定のいろはを説明した後、結局私もオペレーターとして出向くことになった。

オンエアを前に詳しい内容は言えないが、ここでも「?」があった。でも、根本的に軌道修正するのは無理だ。ディレクターの誘導に従いながら、視聴者から選ばれた被験者5人の脳波を測定した。

そして、折を見てはディレクターと「脳波と意識」について話しをした。きっと、これからの番組制作に生かしてもらえると思う。私自身も新たな発見と、ある可能性を頂いた。

収録が終わって、局の出口まで見送ってくれたアシスタント(前日に電話をくれた女性)は「これからは、脳波のことなら和田さんに・・・」、なんて嬉しい言葉を投げかけてくれた。

こんな感じで番組に協力したり、企業の社員教育や福利厚生に関わって、私自身が脳波について説明している表現を少し修正しようと思う箇所がある。

現在説明している脳波の特徴は、以下のURLに掲載しているとおりだ。
http://www.selsyne.com/aim/nowhadas/index.htm#nouhanohyou

修正というか、より分かりやすく、実状にあった表現を検討しているのが「精神集中」についてだ。

ミッドアルファ波(10Hz付近)が集中状態であることに変わりはない。リラックスした中での一点集中傾向だ。ただ、この脳波を意識して強めるのはちょっと難しい。

知らず知らずのうちにミッドアルファ波が強く出ている幸運な人もいるが、普通は精神修養によって強めていく。

普通の人が精神を集中するとベータ波が強く出る。

私自身、クライアントを迎える前やセミナー前などのバタバタしているときに、脳波測定器の動作確認のために自身の脳波を測ると、とても強いベータ波が出ているときがある。

このベータ波が、凡人の集中状態を表している。

しかし、達人の集中状態はミッドアルファ波だ。尋常でない能力を発揮したり、“こと”の最中に素晴らしいアイデアが閃く。

だから、“こと”の前にはミッドアルファ波の状態になるように薦める。コルパーに成るための能力開発の視点からも当然の主張だ。

ただ、脳波測定の一般的なニーズにおいては、精神集中とはベータ波の状態を指していることが多い。

実際、脳波測定器をご購入くださった鉄道会社では、運転士の精神状態を、ベータ波が優勢であるほど「良」と評価されている。

運転士のうっかりミスは、休み明けの日に頻発するそうだ。だから、どれほどシャキッとしているかが重要というわけだ。

運転士の健康管理やストレスコントロールの観点からも、私はミッドアルファ波を薦めたいのだが、背に腹は代えられないようだ。特異能力やピークパフォーマンスの発揮、あるいは「リラックスの中の集中」などは必要ない、ただテキパキと運行してくれさえすれば良いと。

能力開発を起こしにくいベータ波での意識集中が続くと、過剰ストレスとなって、長い目で見ると“運転士の使い捨て”になってしまうのではないかと私は危惧している。

マスコミから「精神集中」を測りたいと相談される場合も、ベータ波的精神集中を指している場合と、ミッドアルファ波的精神集中を指している場合の二通りがある。

だから、「凡人の意識集中」と「達人の意識集中」を明確に分けて情報を発信しよう、と思う今日この頃である。

凡人集中と達人集中、どっちも人間には必要だ。ケース・バイケースでコントロールできたら素晴らしい。バイオフィードバックトレーニングを是非!
http://www.selsyne.com/aim/nowhadas/index.htm

セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/

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