テレビ番組からのオファーで、コンサート中のオーディエンスの脳波を測定。
オンエア前なので詳しく書けないが・・・
テレビ局からのオファーで、一昨日、代官山で行われたあるミュージシャンのライブ会場で、オーディエンスの脳波を測った。
その男性ボーカリストの歌声に癒し効果があるのではないかという仮説を検証しようという試みだ。
ロケに先駆け、打ち合わせとインタビュー収録を兼ねてクルーが来訪された。
事前に送られてきたメールで嬉しいことがあった。インタビュー収録で質問したいという9つの項目が、私がこれまでに取材を受ける際に提案してきた脳波解説のフリップにピタリと当てはまる内容だったのだ。
こんな的を射た質問がくるということは、担当者が真摯に番組を制作しようとしている表れだ。
これまでに出演した番組のビデオをダイジェストでお見せし、その後、リハーサルを兼ねて9つの質問に答えた。
ただしこの収録は、オンエア用というよりも、制作ミーティングで上映することが主な目的だそうだ。名刺交換したシーンぐらいはオンエアされるかもしれないが・・・。
この日は、約4時間の打ち合わせ兼インタビュー収録となった。
ロケ当日は12時半頃に会場入りした。既に仕込みが始まっており、空気の振動が身体を震わせるほどの轟音が響き渡り、暗闇の中を色とりどりのスポットライトが走っていた。
脳波測定器をライブ会場にセットし、隣室に用意された脳波グラフを映すためのモニターまではRS-232Cケーブルを延長して繋いだ。
この写真はカメラリハーサルの一コマだ。被験者役女性スタッフの後ろに置いてあるのが脳波測定器「FM-717」。ちょっと分かりづらいかな?
17時に予定通り開場し、熱狂的なファンによって前の方から順に埋め尽くされた。
私は隣室にスタンバイ。セットされたモニターには、ステージと被験者の映像、そして脳波測定のグラフがリアルタイムに映し出されている。それを見る私を、カメラマンと音声さんが狙っている。
こうして、セルシネ史上初のユニークな脳波測定がスタートした。
2時間超のコンサート中、3つのモニターから片時も目を離すこと無く、興味深い脳波が観察される度にコメントした。
恐らくオンエアでは、「被験者の脳波」と「ステージ上のパフォーマンス」の関連に絞った編集がなされると思う。しかし、脳波というのは被験者のトータルな状況を反映するものだから、本来の解析では広く柔軟な視野が必要である。
番組制作側の意向は、脳波の変化をボーカルの声に関連づけたがる。しかし私は、脳波が変化した本当の理由を探したがる。ここに決定的な立場の違いがあった。
ここでもまた、私の中で『まじめな正論』と『たのしい暴論』がせめぎ合った。
コンサートにテレビ番組が入り込んで脳波を測定するという大きなプロジェクト。その中で私だけが杓子定規なことを言っていても始まらない。
最初は脳波研究者の顔だったが、終わり頃には三流俳優になった気分で制作側の要求に沿ったコメントをしていた。
とはいうものの、もちろん出鱈目なコメントはしていない。この素材をどのように編集してオンエアされるのか大いに楽しみである。『まじめな正論』と『たのしい暴論』が高いレベルで合一していることを期待したい。
オンエア情報は、セルシネ・ニュースでご案内する。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
| 固定リンク
コメント