スポーツストレッチングの癒し効果を脳波測定で実証。
「こういうのやりたかったんだよ・・・」
4月29日の仕事を終えた時に心の中でつぶやいた。
そのちょうど10日前に頂いたご相談からこのプロジェクトはスタートした。
電話を下さったのは、野球やテニス、ゴルフ、サッカーなど様々なスポーツの教材を開発する「Real Style」という会社だ。
「ストレッチのビデオを制作するので、撮影するスタジオで脳波を測って欲しい。脳波測定器はどのタイプが適していますか?」と。弊社ウェブサイトの脳波測定器レンタル紹介ページをご覧頂いての相談である。
すなわち、ストレッチをする前と後の脳波を測って、ストレッチでリラックスできることを科学的に証明したいとのことだった。
「言うは易く行うは難し」である。
こういうのはなかなか思うような結果が出ないのが普通だ(と“覚悟”している)。
アロマでも瞑想誘導でもリラクセーショングッズでも、リラックス傾向に傾いた状態を“脳波測定という体験”が吹っ飛ばしてしまうのだ。ましてや撮影現場となると・・・。
脳波は繊細かつ正直なのである。
撮影は四ッ谷のスタジオで行われた。脳波測定器のオペレーターとして出向いたのだが、打ち合わせ中にディレクターから「ビデオに出演して脳波の解説をして欲しい」と依頼された。ちろん歓迎である。
まずビフォーの脳波としてトレーナーと体験者の計4名の脳波を測った。
トレーナーは「兼子ただし」という非常にユニークなキャラクターの持ち主だった。新日本キックボクシング-フェザー級4位の現役で、ストレッチ専門店を七カ所で営業するSSSグループジャパンの代表取締役でもある。
ストレッチが終わった後、アフターの脳波を測ってみると全員に肯定的な結果が出た。ベータ波が減りアルファ波が増えている。ビフォーでベータ波とシータ波が出ていた人は、ちゃんとその両方が減ってその分アルファが増えていた。
すなわち、ストレッチが被験者の緊張感を緩め、かつ眠気もスッキリ解消させる効果のあることがハッキリと確認できた。
特に兼子ただし氏ご自身の変化が一番大きかった。ベータ波は26.6ポイント減り、逆にミッドアルファ波は36.6ポイントも増えた。これは“メリハリの天才”とも言えるほどの変化だ。
身体には、沢山のセンサーが配置されています。このセンサーと脳は、感覚性神経線維(医学では「線維」と書きますが、「繊維」と同じ意味です)で結ばれており、数百万本にも及びます。センサーで受け取った情報は、感覚性神経線維を秒速約100メートルのインパルスで脳に伝わっています。想像してみてください、脳の情報処理は大変なもんです。
こんな状況から解放されるためには、身体の緊張を解(ホグ)してやることが効果的です。リラクゼーション誘導が順調に進むと、身体に重感が出てきます。これは、無意識が司っていた抗重力筋が緩むことにより、重力を意識が感じるからです。そして、もっとリラクゼーションが深まると、今度は逆に、身体が軽ーくなってきます。このとき、脳は身体から解放されるのです。このレベルを、「コアセルフが身体を脱いだ」と表現します。感覚性神経線維を伝わるインパルスもめっきり減りますから、脳が身体から解放されたことが科学的にも確認できます。
この文章は、弊社eラーニング「コルパーに成る」で私が解説したものである。
この効果をストレッチという手法で実現しているのが兼子氏というわけだ。そのことが脳波測定で確かめられた。
繰り返すが、「言うは易く行うは難し」である。
本物に出会うと私の好奇心がメラメラと燃えてくる。
私が進めている「サポーティング・バイオフィードバック法」の構築に、頼りになるメソッドだ。
全てが終わった後、スタッフにお願いして写真を撮ってもらった。
今回撮影したDVDは初夏の発売を予定しているそうだ。YouTubeを利用した弊社「映像配信局」で紹介することもOKを頂いたので、完成したらダイジェストをアップしたいと思っている。
被災地で苦労されている人達にもきっと喜んでもらえると思う。効果の確かさは脳波結果が証明している。
今回ご用命下さった株式会社Real Styleと兼子ただし氏。今後色んな展開ができそうだ。
こういうのやりたかったんだよ・・・
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
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