自己の実現。脳波測定の事前調査で訪問したケアプラザで思ったこと。
「伸身の新月面が描く放物線は、栄光への架け橋だ!・・・」
2004年アテネオリンピックでNHKの刈屋富士雄アナウンサーが発した実況が、私の頭の中で柔らかく再生してきた。
昨日、横浜の某ケアプラザを訪問したときのことだ。
ケアプラザとは、横浜の各地域に計110カ所設置されているボランティアと福祉のサービス拠点である。
昨年12月に某NPO法人の理事長からお電話を頂戴し、「自分達が行っている活動の効果を脳波で検証したい」との相談を受けた。
地元で採れる竹などを利用して楽器を作り、ケアプラザにデイサービスで来所したお年寄り達に使ってもらっているのだそうだ。表情や言動の変化、科学的にも唾液の成分を指標とした検証で効果を確認しているとのこと。更に検証を進めるために、今回は脳波を観てみたいのだそうだ。
資料を送って頂いたり何度か遣り取りした後、実際に現場をみさせて頂くことにして昨日に至った。
最寄りの駅まで迎えに来て下さった理事長と昼食を取り、それから理事長の運転されるクルマでケアプラザへ、そしてデイサービスが始まるまでの間、とにかく色んな意見交換をした。
私は“脳波研究家”の肩書きでテレビに出るし、今回の依頼も脳波測定だ。しかし・・・
私の要の仕事は、クライアントや仲間達と一緒に「自己実現」することである。その思いを「セルシネ」という名称でも表現している。脳波はあくまでも道具の一つである。
理事長と息が合った。
そして、50分の音楽療法(というか、お遊戯会のようなセッション)が始まった。
私は初めに紹介されただけで、その後はずっと後ろからスチルとビデオを撮りながら観察していた。そのときに私の頭の中で流れたのが、冒頭に紹介した実況とゆずの「栄光の架橋」である。
ゆずがこの曲をリリースしたのは2004年の7月22日。私の誕生月日である。そんな偶然はどうでもいいか・・・
閑話休題。
人生の大先輩であるこのご老人達に、さらなる「自己実現」のサポートを提供するとしたら、それはどんな方法があるだろう。もちろん一方的な押しつけでは意味がない。
鉄棒をグルグル回りながら色んな技が繰り広げられる。派手で華麗なもの、地味だが美しいもの、大したことは何もしないで終わる場合もあれば、超ウルトラ級の技もある。途中で落下してしまうことだってある。
このご老人達にはそれぞれの人生があった。そして、いずれ最期のクライマックスが訪れる。天国への架け橋を生きる一時だ。
そのときが最高に幸せで、あるいは安楽であるために準備できること、体験できることがあるはずだ。もしかすると、たとえ悲惨な最期であったとしてもたんたんと死んでいける人がいるかも知れない。
“自己実現”というと、人生の最高潮期に何を成し遂げるかということをイメージするかも知れないが、本当の自己実現は“死に様”に集約されていく。最期のときに自己が実現するのだ。
人生をフィニッシュするための寄り添い方を私自身養いたいと思った。すぐに自分も通る道である。
本稿を書くためにビデオを見ると、刈屋アナウンサーは他にも面白いことを言っていた。
「冨田が冨田であることを証明すれば、日本は勝ちます」と。
冨田洋之選手が実力通りに、普段通りに演技をすれば勝てる得点差であるということだが、言葉の言い回しによって含蓄が込められた。
それぞれの人生経験を経て、最期のクライマックスで何を証明して自己実現するのだろう・・・。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
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