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2012年3月23日 (金)

呼吸のタイミングと脳波の因果が一目瞭然。脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」のマーカー機能を紹介する。

今月1日に発売した研究者用高性能簡易脳波測定器ブレイン・プロ「FM-929」のオプショナル脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」の「マーカー」機能を用いた考察を紹介したい。

測定者及び被験者は共に私自身、測定時間は3分間、測定部位は前額右側(Fp2)である。

目を閉じて安静にしているとこのような電圧スペクトルになる。
107_2
縦軸が脳波の電圧で、フルスケールを25μVに設定している。横軸は脳波の周波数で、3Hzから30Hzまでを0.5Hz刻みでFFT解析した全55ポイントを表示している。

全ての脳波が5μV以下となり、何にも集中せずに、脳のテンションが下がった状態である。眠気方向へ脳が集中しているのでもない。

周波数の特徴は、弊社脳波関連ポータルサイト「NOWHADAS」→「脳波の豆知識」→「脳波の種類」で紹介している。

次に紹介するグラフは「全時間折れ線グラフ」である。

2_2
縦軸のフルスケールは同じく25μVだ。横軸は時間で、一番左が測定開始時点、一番右側が3分経過時点である。

3_2


「パルラックス・プロ」は、任意の周波数を任意の色で5本までこのグラフに表示することができる。

測定開始の作業をするために目を開け、腕も動かしているので、最初の5秒間はノイズが混入している。それがシータ波(5Hz)の折れ線に影響していることが分かる。

その後はすぐに、テンションの低い状態に戻っている。強いて言えば、54~59秒辺りでシータ波とミッドアルファ波が強く出て、後半にもたまに同じような脳波が出ている。が、概ねローテンションである。

このローテンションは無念無想と言えなくもないが、実際には弱い念想が残っている。というか、沢山残っている。

さて、ここからが本題である。

「全時間折れ線グラフ」に、測定中に挿入したマーカーを表示するとこのようになる。

4_2

マーカーを入れたタイミングは、呼吸の下死点と上死点である。

吐く息を長くしているから、マーカー間の広い時間に息を吐き、狭い時間に吸っていることになる。

このグラフを見る限り、呼吸と脳波に因果関係があるようには見えない。

そこで、5本の脳波を消して、一番周波数の低い3Hzの折れ線を表示すると次のようになる。

53hz_2
このようにして、3Hzから30Hzまで0.5Hz刻みでスキャニングすると、ある周波数で明らかな因果が現れた。

それが次のグラフである。

68hz_2
吐く息の後半で賦活していることが分かる。周波数は8.0Hzのスローアルファ波だ。

すなわち、このときの私の呼吸法は、スローアルファ波の活性化を誘発していたのだ。

どの周波数が活性化するかは、呼吸の仕方によって変わってくる。別の呼吸法を行えば、吸うときにアルファ波が強く出ることすらある。

以上のように、呼吸のタイミングと脳波をグラフ化することで、呼吸の方法や癖が一目瞭然となる。自己統制法として呼吸を用いている人は、このツールに大きな魅力を感じることだろう。

サポーティング・バイオフィードバック法のツールとして、今後大きな力を発揮してくれることになりそうだ。サポーティング・バイオフィードバック法の指導は、トータルセッションで行っている。

なお、呼吸については、弊社eラーニング「コルパーに成る」→「呼吸を鍛える」も参照されたい。

また、本稿では、「全時間折れ線グラフ」にマーカーが入っていないグラフを紹介しているが、現「パルラックス・プロ」の仕様では、測定時に挿入したマーカーを再生時に消すことはできない。よって、画像編集ソフトでマーカーを消した。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/

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