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2014年1月 8日 (水)

終夜睡眠脳波の測定及び評価を高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」で実現する方法。

弊社の「脳波測定サービス」をご利用下さるクライアントの中で、睡眠脳波の測定を希望されるケースは多い。

テレビ番組でも以下のようなご利用実績がある。

日本テレビ「午後は○○ おもいッきりテレビ」(2007年)の特集「夜グッスリ朝スッキリ春先に効果的な快眠法」で、間寛平さんの入眠脳波を測定。

テレビ東京「世界7大ミステリー 人体の奇跡SP」(2010年)で、ウクライナ人不眠男性の脳波を測定し、“マイクロスリープ”を特定。

テレビ東京「世界7大ミステリー人体の奇跡SP2」(2010年)で、10日間も眠り続けるイギリス人少女の脳波を測定し、クライン・レヴィン症候群の可能性を検証。

日本テレビ「所さんの目がテン!」(2011年)で、ホテルのベッドの寝心地が悪い理由を探求。

テレビ朝日「中居正広の怪しい噂の集まる図書館」(2011年)で、寝つきの良くなる一番の飲み物は何かを、ホットミルクやココア、ジャスミンティーなど6種類から検証。被験者は、Kis-My-Ft2の藤ヶ谷太輔さんと玉森裕太さん。

日本テレビ「所さんの目がテン!」(2013年)で、どんな曲で目覚めるのが効果的なのかを検証。

等々である。寝具メーカーの通販番組で、入眠の瞬間を生本番で判定して欲しいという依頼もあった。ただ、この件はお断りした。入眠を「今まさにココ」とリアルタイムに判定するのはとても難しいのだ。バラエティなら勢いでやってしまうが、通販番組で判定するのは自重した。

医療現場などで睡眠深度を計測する場合は、ポリソムノグラフィ(脳波の他、眼球運動や顎の筋電図を同時に測定)によって総合的に判定するのだが、本稿では、高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」を用いて判定する手順を紹介したいと思う。

脳波測定器BrainPro「FM-929」に付属している脳波解析PCソフト「パルラックスF」の最長測定時間は100分のため終夜脳波測定には適さない。よって、オプションの脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」で終夜脳波を測定(最長10時間の連続測定が可能)し、得られた脳波データを「パルラックスF」形式に裏技で変換し、分布グラフで再生する。

分布グラフの横軸は周波数で、一番左の3.0Hzから一番右の30.0Hzまで0.5Hz刻みである。縦軸は時間で、上から下方向が時間の流れで、1フレーム3分間で1秒刻み。ただし、ここでの例示は複数の終夜脳波が混在しているので、各画像の時間はバラバラだ。

①.就寝の準備を整えた後にテレビを観ている時。β波が出現し、ノイズ混入(ノイズ混入のため表示をキャンセルした黒い部分)も大きい状態。
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②.目を閉じて睡眠態勢に入った時。α波が優勢だがβ波もまだ出現している。
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③.α波の優勢が消え、β波も沈静化し、入眠した状態。
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④.β波はほぼ閾値以下となり、θ波からδ波へ優勢脳波が変わりつつある。徐波(θ波やδ波)側が断続的に黒くなっている箇所は、更に遅いスローδ波が優勢になっている。このことは、パルラックス・プロの原波形を見ることで直感的に知ることができる。
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⑤.β波は完全に閾値以下となり、断続的に3Hzから14Hzの脳波も閾値以下になる頻度が更に増している。スローδ波が強く出ているが、パルラックスFではそれを表示できないのが残念である。
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⑥.⑤と同程度の深い睡眠状態だがファストα波も強く出ている。断続的に意識があるので被験者本人は眠れていないと感じる。いわゆる不眠症の一つであるが、断続的な黒い部分では深い睡眠と同じであり生理的睡眠は取れている。このような睡眠をマイクロスリープと呼ぶこともある。
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⑦.終夜睡眠脳波の測定開始から45分間のデータ。被験者は不眠症で悩んでいるが、この日は昼間に運動し、寝付きは割と良かったとの自己評価。
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1. 1分20秒辺りで閉眼。
2. 閉眼後から入眠までの時間はα波が優勢となるが、初めての脳波測定の緊張感からかα波優勢が断続的となった。
3. 10分20秒辺りで継続した「浅い睡眠」ステージに。
4. 26分50秒辺りから「深い睡眠」ステージに。
5. 42分00秒辺りで1回目の「深い睡眠」が終了。
6. 42分00秒辺り以降はθ波が比較的優勢だが、REM睡眠ではα波やスローβ波が優勢になる。

脳波解析PCソフト「パルラックスF」は、100分間のデータを取り込み表示できるが、フレームは3分間分しかないため、スクロールしてその前後を表示する仕様。この分布グラフは画像編集ソフトで画像を繋いだものである。

以上の通り、概ね②~⑤の睡眠ステージを30分から2時間ほど掛けて繰り返す。いわゆる「90分サイクル」と言われるものであるが、体調等により流動性が高い。

紹介した分布グラフの原寸大画像を「高性能簡易脳波測定器BrainPro『FM-929』で測定した終夜脳波の分布グラフ例」に掲載した。

正式にはδ波やθ波、α波、β波などの常在脳波の比率で睡眠深度を評価するのであるが、私はそのようなことはしない。

それよりも、この分布グラフをプリントアウトして、睡眠脳波ステージの変化リズムを俯瞰的に把握するようにしている。画面上では分かり難いかもしれないが、実際には睡眠ステージの切り替わりが手に取るように分かる。
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ただやはりリアルタイムにステージの切り替わりを断定するのは難しい。少なくとも数分は欲しいところなのである。

このようにして「入眠までの所要時間」、「ノンレム睡眠からレム睡眠のサイクル」、「各ステージの所要時間」、「中途覚醒の有無」、「覚醒のタイミング」などを浮き彫りにして、睡眠の質を評価するのである。

測定器に付属しているカチューシャ型の脳波センサーは終夜脳波の測定には不向きである。枕などに当たってセンサーが浮いてしまったり、カチューシャ型の締め付けにより安眠を妨害してしまう。

そこで利便性を発揮するのが万能脳波センサー「エンフレック」である。

「エンフレック」のアイデアは大学や企業の研究機関からもご好評を頂き、脳波測定器メーカーもオプションとして商品化した。セルシネでは、脳波測定器をご購入頂く際に特典品として無料でお付けしている。

先日も、睡眠の質を高めるというサプリメントの効果を検証するための脳波測定依頼を頂いた。数週間後にはテレビの通販番組で紹介されるそうだ。首尾良くOAが決まれば改めて報告したい。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/

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