脳波は宝の山。
一年間務めたマンション管理組合の理事長職を先月24日の総会で無事終了し、今はホッとしている。後は、今月開催される理事会に参加して引き継いだら晴れて放免だ。
先月6日にオンエアされた日テレ「ナカイの窓」(特番)の件をブログに投稿するのが遅れていたが、今やっとこうして稿を起こした。
この件で初めてご相談を頂いたのが7月12日である。2年前の日テレ「トリックハンター」でカンニング竹山さんと藤田紀子さんの脳波を測定したとき、そのスタジオにいたというAD氏からの電話だった。
今回は特番のドッキリで、何も知らずに眠っているトータルテンボスの藤田君を100人のタレントが見つめるスタジオのど真ん中で起こすというもので、このドッキリを成功させるために藤田君がぐっすりと眠っているタイミングでスタジオに運ぶために脳波を測りたいと。
4日後にはディレクターと共に来訪下さり、ドッキリを仕掛ける方法や睡眠深度の判定方法など諸々を打ち合わせた。
睡眠深度の判定方法は、弊社ウェブサイト「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」に紹介している通りである。高性能簡易脳波測定器BrainPro「FM-929」と脳波解析PCソフト「パルラックスF」を利用する。
収録はご来訪頂いた2日後だった。日テレの麹町スタジオに入り脳波解析システムのセッティングと最終打ち合わせ。その後汐留の日テレ大屋根広場に移動して、ドッキリを仕掛けるためのウソ八百脳波解説を収録。
と、いつものようにOA画像を入れながら振り返りたいのだが、番組からストップが掛かった。いつもは大目に見てもらうのだが・・・。こういうストップが掛かる場合は、後に番組のDVDが発売されることが多い。本当のところは知る由も無いが、要請は承諾するしかない。
汐留の大屋根広場で収録した後は麹町に戻り、徹夜明けの藤田君を確実に眠らせるために居酒屋へ、大村君は「ナカイの窓」収録のスタジオへ、私はスタジオ横の脳波測定室で待機した。
数時間後に、ほろ酔い気分を少し越えた藤田君が戻ってきた。そのままストレッチャーに寝かせて脳波センサーを装着した。ここからは真剣な脳波測定だ。深い睡眠であるノンレム睡眠を見極めなければならない。
徹夜と飲酒というちょっと邪道な眠りへの誘いであるため、睡眠脳波のサイクルがとても興味深い展開を見せた。通常ならα波優勢をしばらく継続した後に入眠していくのだが、今回は一気に深い眠りに入った。もうすぐにスタジオに移動させて寝起きドッキリをして欲しいほどだった。
しかしそうは行かない。スタジオでは本筋の収録が行われている。この約3時間に渡る睡眠脳波の観察が、通常の終夜睡眠脳波の測定では見ることができない特徴を示したのだ。
本稿ではその概要すら述べることもできないが、私は興味津々で脳波を観察し続けた。
人の睡眠はいわゆる「90分サイクル」で深い睡眠と浅い睡眠を繰り返す。ただし、実際のサイクルには大きな揺らぎがある。ましてや今回の藤田君の眠りは「徹夜明け」と「ほろ酔いを少し越える程の飲酒」が大きく影響している。
スタジオ収録のタイミングで、ディレクターから睡眠状態の確認を求められた。私は、睡眠脳波の分布グラフをリアルタイムで表示するPC画面を指しながら、ノンレム睡眠中であることを解説した。OAの通りである。
100人のタレントと大勢のスタッフが関わりながら進むテレビの収録で睡眠状態を判定するのは大きなプレッシャーと緊張感があった。ストレッチャーごと無事に寝室を送り出した後にディレクターが握手の手を差し伸べてくれた。私は汗でびっしょりの手を拭いてから握手した。
長く緊張感を維持していた後の開放感は、大きな達成感をもたらしてくれた。
ストレッチャーに乗せられた藤田君がゆっくりゆっくりとスタジオに運び入れられた後、ディレクターが私をスタジオの隅に案内してくれた。OAされたあの寝起きドッキリの一部始終を生で見るというご褒美を下さったのだ。
このようなテレビ番組との相乗効果で、大学や企業との連携も益々広がってきている。脳波も奥が深い。単なる波形が、経験の目を通して見るとことによって宝の山となる。
感謝。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
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