脳波測定によるリアルタイム入眠判定の難しさ、そしてできること。
昨日もテレビのバレエティ番組から「“脳波”で入眠判定して欲しい」との相談があった。入眠導入サプリメントや寝具メーカーからも同様の依頼がよくある。しかし、リアルタイムにココ(で入眠した)とはなかなか判定しにくいのだ。
その理由を改めて本稿で述べたいと思う。
終夜睡眠脳波については、弊社ウェブサイト「終夜睡眠脳波の分布グラフ例」で解説している。
ここに掲載している脳波の分布グラフを案内しながら、番組制作スタッフに入眠判定のアドバイスをした。
アドバイスをしていて、もっと“入眠時”(入眠期)に特化した脳波測定例が欲しいと思った。
そこで、過去に私自身の睡眠脳波を測ったデータから、入眠について分かりやすいものを選んで、同ページに「入眠時(入眠期)の脳波」コーナーを新設して、その脳波分布グラフを掲載した。
本稿にもその分布グラフを掲載しよう。
この脳波は、高性能簡易脳波測定器「BrainProFM-929」を用いて、脳波解析PCソフト「パルラックス・プロ」でデータ化したものである。但しそのままでは入眠判定がしづらいので、分布グラフを表示できる「パルラックスF」用ファイルに変換している。
「パルラックス・プロ」のデータを「パルラックスF」用に変換する裏技は、「脳波解析PCソフト『パルラックス・プロ』の測定データを、『パルラックスF』で開く方法」で紹介している。
なお、「パルラックスF」は縦軸(時間)を3分の幅でしか表示できないので、画像編集ソフトで繋いでいる。
測定スタートから約1分までは体動によるノイズが大きいので、表示をキャンセルした。
キャンセル前のノイズが混入した分布グラフは、こちらに掲載している。但し、アーチファクト機能もオフにしているので、上のグラフとは若干の違いが生じている。
このままでは画像が大きいので、俯瞰してご覧頂きやすいように縮小画像も掲載した。
分布グラフから分かるとおり、9分20秒辺りからα波が途切れ始め、まどろみ状態であることが分かる。そして、15分40秒辺りでα波は沈静化し、逆にδ波が継続的に強く出現し始めている。即ち入眠である。
入眠時刻を判定して欲しいとのご依頼をよく頂くが、本例のまどろみ時間のような約6分20秒をどのように判定するのかが一つの課題なのである。当然、このまどろみ時間は同じ被験者でも毎回違うし、まどろみ時間がほぼゼロの場合もある。
更には、α波優勢の時間もほぼゼロで、即刻入眠する被験者もいる。
測定結果を後でこの分布グラフのように俯瞰的に観れば、入眠時刻を判定することは比較的容易である。しかし、リアルタイムに「今入眠した」と判定する場合には、まどろみ時間で再びα波優勢になる場合もあるので難しい訳だ。
以上のことをご了承頂いた上でなら、入眠判定は可能である。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
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