気療ハンドの神沢瑞至氏は、みやぞんさんを眠らせることができるのか? TBSの番組「世界がビビる夜」で入眠判定した脳波の報告。
収録は、今月12日に砧のTMCスタジオで行われた。
脳波測定の目的は、気療塾学院の学院長で気療師の神沢瑞至氏による気療ハンドなる気を受けるタレントのみやぞんさん(ANZEN漫才)が本当に眠るのかを判定して欲しいというものだった。
収録の冒頭では、これまでに神沢氏が披露してきた動物たちを眠らせるパフォーマンス動画が流された。
私はこれまでの30年間で1万人を超える被験者/訓練者の脳波を測定してきた。2009年にはファインブレイン研究会を発足し、2012年には部会として気律脳波研究をスタートして、気律脳波の達人「ザ・マスター」認定を行っている。
気律とは、「“気”の巡りを治めて、自他の統制と癒しを促す」気の流れのことをいう。
神沢氏の紹介動画が終わった後、ご本人がスタジオに登場した。
是非、神沢氏自身の気律脳波を測定してみたかったのだが、そのチャンスはなかった。
さっそく、気療ハンドでみやぞんさんを眠らせるパフォーマンスコーナーが始まり、私はみやぞんさんに脳波センサーを装着し、その脳波を見守った。
程なくしてみやぞんさんは目を閉じ、αモードに入った。さて、ここからが注目である。入眠してα波が途切れるのか、それともα波が続いて単なるリラックス状態を維持するのか、あるいは、眠らないといけないというプレッシャーでβモードに変わるのか・・・。
数分でみやぞんさんはうな垂れた。それだけを見ると、もう眠ったのかどうかの判断はつかない。しかし、脳波はまだαモードのままだ。
私の横にはディレクターがついてサポートしてくださっていたのだが、それを飛び越えてお偉いさんが私に声を掛けてくる。「もう寝ましたか?」
私は、「いいえ、このα波が消えないと入眠とは言えません」と。
神沢氏も、気療ハンドをみやぞんさんに向けながら私の方を見てくる。「もう、入眠したはずだが・・・」という感じである。
またお偉いさんが訊いてくる、「どうですか?」。私は「まだです」。
この約10分間は何とも言えない緊張感に支配された。しかし、αモードの状態で入眠を宣言するわけにはいかない。
「寝てるはずなのに、脳波では寝てなかった? 残念だね・・・」こんな結末になることを覚悟した。沢山のスタッフと出演者がいる中でこの結果を招くのはとても大きなプレッシャーである。
でも仕方ない。この仕事を引き受けたのだから。
半分開き直りつつも、みやぞんさんの脳波を観察し続けた。と、そのとき、α波がピタッと沈静化した。
小さな声と大きな表情で、「寝ました、寝ました・・・」と報告。相手はディレクターだったかお偉いさんだったかは覚えていない。私も喜びで興奮していた。
スタジオで流されていた別のコーナーのVTRが止められ、MCの田村淳さん(ロンドンブーツ1号2号)が歩み寄ってきた。スタジオ中が安堵と喜びの雰囲気だ。
私は脳波グラフを示しながら、「α波が途切れて入眠、そして今、δ波が出てきて熟睡状態です」と淳さんに報告した。
そりゃーそうだ。神沢氏の気療ハンドが凄いのだ。しかし、私の意識では脳波に入眠が、そして熟睡がハッキリと表れた喜びが大きく、その状態で聞いた奈々さんの言葉を「脳波スゲー」にすり替えたのだ。誠に、「意識の捏造ってスゲー」である。
スタジオのみんなも喜んでくれた。よかったー、ありがとう!
本ブログでは、実際に測定した脳波の分布グラフを用いて詳しく解説する。
ディレクターからの指示で、10分以上前から脳波測定器をスタートさせた。脳波センサーを装着していない状態だから、グラフにはノイズの影響が著しい。
縦軸が経過時間で、下向きに流れていく。目盛りは10秒単位で、表示幅は3分である。横軸は脳波の周波数で、3.0Hz~30.0Hzまでを0.5Hz刻みで表示している。明るい色ほどボルテージが強いことを示す。
みやぞんさんに脳波センサーを装着し、神沢氏の気療を受けるとみやぞんさんは程なく目を閉じた。それがグラフ上の15分20秒である。ノイズは消え、10Hz前後のα波が出ている。
δ波からθ波の帯域も出ているように見えるが、これが眼球運動等によるノイズなのか、それとも気療ハンドを受けている証なのかは判別できない。
δ波からθ波は弱くなり、αモードとなった。
話しが少し脱線するが、イメージトレーニングはこの脳コンディションで行うのである。意識はありつつPMF(パーソナル・マインド・フィルター)が薄くなっているので、映像化した理想の自己像が潜在意識にそのまま形成されやすい。
ベッドに入ってから入眠するまでのこの数分間を、私が“脳のゴールデンタイム”と名づけた所以である。
この脳のゴールデンタイムを利用した「アファーメーション法」や「微笑み法」を拙著「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」で解説しているので、自己実現するための自己統御法に関心のある人にはお薦めである。
閑話休題・・・
外見上、みやぞんさんが入眠したかのように見えていたとき、脳波はこのようになっていた。
約40秒間隔で全周波数帯域にノイズが出ている。これは、みやぞんさんが唾を飲み込んだり、姿勢がカクンっとなったときである。
特に、一つ目のノイズの直後は入眠と判定しても良い状態だ。しかし、唾を飲み込んだ直後だったので入眠判定を躊躇していた。そのうち、姿勢が崩れかけたのを機にαモードに返ってしまった。
椅子に座って入眠するのは難しいのだ。4月に放送されたテレビ朝日「なら≒デキ」で、お坊さんは正座したまま眠ることができるのか? というユニークな検証のオファーを頂いて脳波測定した際も、やはり姿勢が崩れてしまうことで入眠できなかった。
この件は、本ブログに「脳波による睡眠判定の考察。テレビ朝日『なら≒デキ』からのオファーで、僧侶の正座睡眠の挑戦を観察して。」のタイトルで投稿している。
みやぞんさんは姿勢を整え直し、αモードがしばらく続いた。
この状態が30分も続いてしまえば、その後に入眠したとしても、それが気療ハンドの力であるとは言いにくいだろう。
入眠を宣言できずに少々焦りながら観察していると、突然α波が途切れた。(入眠に伴ってα波が途切れるのは、いつも突然である・・・)
δ波の周波数帯域は0~4Hzであるが、脳波測定器BrainPro「FM-929」は3.0Hz未満を計測できない。恐らく、見えていない0~3Hz未満のδ波は強く出ているはずだ。
(現在は、1.0Hzまで観察することができる脳波解析PCソフト「アナライザープラス」があります。「アナライザープラス」は、脳波測定器BrainPro「FM-929」と「FM-939」で利用できます。表示帯域が広がったグラフを、弊社「睡眠脳波ラボ」紹介ページの「新『アナライザー(プラス)』と旧『パルラックスF』の分布グラフ比較」コーナーでご覧いただけます。2020.6.18追記)
スタジオがにわかに(静かに)活気だったとき、みやぞんさんの脳波にはα波も点在するようになった。無意識でも、脳は外界のざわつきに反応するのだ。しかし、もう一本筋のαモードにはならない。そして、δモードは益々強くなっていった。
緊張感の後の達成感を抱きつつ前室に戻った。まだ続いている収録の様子を映すモニターを観ながら、三分の二ほど残していたロケ弁を美味しく頂いた。
オンエアでは、エンドロールに「セルシネ・エイム研究所」のクレジットも掲載してくださった。
感謝
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
http://www.selsyne.com/aim/
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コメント
ねこさん、コメントありがとう。
ねこさんもできるんですね。素晴らしい!
私もセミナー参加者に立禅誘導や催眠誘導をすると、“ウトウト”する人が出てきます。ただし、このウトウト状態と、深い睡眠(δモード)には大きな違いがあります。ねこさんがご同僚を眠らせたとき、そのシチュエーションとご同僚の脳波がどうだったのかが興味深いところですね。
緊張感溢れるスタジオ収録中にみやぞんさんはちょっと的外れなことをおっしゃっていたので、ご自分の役どころを理解されているのか心配になりました。みやぞんさんの役割は、「ハンドパワーに負けずに目覚めている」ということでした。いずれにしても、本当に眠らないとあんな脳波は出ないのですが。
私は、手をかざして眠らせるということはやったことありませんが、昨年、入院中に敗血症を院内感染させられて独特の呼吸で苦しそうな人のお腹に手を置いて10分程さすっていると、スーッと楽そうな呼吸に戻って、その後敗血症も克服させた経験をしました。手当て(ハンドパワー)、恐るべしですね。
>私はこれが出来ます。
>昔いたずらで同僚を眠らせたりしたことがありますw
>というか、誰でもコツを覚えれば簡単なんです。実は。
>
投稿: センバツ | 2020年6月29日 (月) 19時52分
私はこれが出来ます。
昔いたずらで同僚を眠らせたりしたことがありますw
というか、誰でもコツを覚えれば簡単なんです。実は。
投稿: ねこさん | 2020年6月29日 (月) 15時40分