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2018年3月12日 (月)

習慣とは・・・。本人にとって意味ある習慣形成は、実はとっても簡単なこと。

習慣とは、本人に出来上がった癖のことである。

国や共同社会などにおいて、その構成員達が当たり前のこととして遣ったり考えたりしている「慣習」を指す場合もあるが、本稿では個人の習慣のみを指すこととする。

習慣には、考えや感情、発言、行動、認識、態度など様々な側面のパターンがある。

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「習慣は自然の如し」あるいは「天性の如し」と言われるように、本人がしっかりと身につけた習慣は、アイデンティティー(その人らしさ、個性)と等価となる。


その習慣と機縁によって、様々な出来事が生起してくる。

何がどのようになったら習慣が形成されたと言えるのだろうか?

大脳生理学的に言えば、次の通りである。

例えば、生存に必要な後天的反応の神経回路網が構築されているとする。神経細胞が伸び、シナプス(神経伝達物質が遣り取りされる領域)を介在させて出来上がっている。

これを神経回路網Aと呼ぶとしよう。

あるシチュエーションでは必ずこの神経回路網Aに情報が流れて、この神経回路網が出力する癖の反応を本人がする。

ところが、もしももっと別の結果が欲しくなったのなら、同様のシチュエーションで別の反応をするように努力することが必要な場合がある。

その努力を繰り返していると、新たな神経回路網Bが徐々に成長してくる。しかし、意識を怠ると神経回路網Aが活動してしまい、旧来の反応を出してしまう。

神経回路網の活性と衰退は、使われる頻度によって変わる。すなわち、使われるほどに活性化し、使われないでいると衰退化する。獣道のようなものだ。

この活性度が神経回路網Aと神経回路網Bで逆転したとき、そのときを新たな習慣が定着した瞬間だと評価する。すなわち、無意識に神経回路網Bの反応をする状態だ。

ある意味、非常に単純なことである。

しかし、「神経回路網Aから出力される習慣A」が「神経回路網Bから出力される習慣B」に切り替わるポイント(ゴール)だけを「習慣Bが形成された」という訳ではない。

自己変革訓練に取り組む本人は、シチュエーションの端緒を認知するようになる。「神経回路網Aが起動しそうだ」と。そのときに、神経回路網Bを意図的に起動して反応Bの行動をする。

このような認知行動的反応Bも、習慣Bと結果的には同じである。

欲しい結果を得るための習慣Bを事前に計画しておくのだ。すなわち行動計画Bだ。

端緒に気づいて行動計画Bをする。このレベルでも立派な習慣だ。

ただし、行動計画Bを遂行するためには、それができる能力Bを事前に開発しておかなければならない場合もある。その場合は、意図的な反復練習を繰り返して、能力Bを開発するのだ。未開の潜在能力も、繰り返し刺激を与えることで顕在能力となる。

潜在能力Bが顕在能力Bになったとき、これも立派な習慣化と言える。

自己変革を目指すクライアントを私がサポートする際には、おおよそ21日間で習慣化できる課題をクライアントが設定できるように寄り添う。

サーカディアン・リズム(おおよそ一日のリズム)に乗って私達は生活している(例外もあるが)。このリズムはとても強く生体に働いている。

一日よりも短い周期をウルトラディアン・リズムという。例えば、呼吸や心拍、脳波、摂食関連などである。

一日よりも長い周期をインフラディアン・リズムという。季節に沿った一年の心身の変化、あるいは成長から老化までのリズムもある。

その中に、一週間というリズムもある。現代生活者にとって、これはなかなか強いリズムである。各曜日毎に調子が付けられ、一週間毎に繰り返す。

このウィーク・リズムを3回繰り返す中で習慣化させる。自己変革訓練に取り組む際は、このスパンが丁度良い。

あまりにも簡単に習慣化できるものは、そもそも自己変革訓練だと大上段に構えるまでもない。

逆に、何カ月あるいは何年も掛かってしまう場合には、既述した「習慣Bが形成された」とする目標の難易度を下げた方が良い。3週間ずつの達成を果たしながら大きな習慣形成を達成するようにだ。

繰り返すが、21日(3週間)というスパンは、自己変革訓練をするのに丁度良い。

女性には月経周期という28日(4週間)のリズムがあるから、これに合わせるのも良い。

2003年に発売した能力開発メソッド「速話聴取マニュアル」も、3週間が一つの区切りとなるようにプログラムした。コンテンツの一部を2009年に「速話聴取法『session1』」のタイトルでYouTubeに公開している。

能力開発や習慣形成には3週間を要して実践するというこの取り組みが、その文脈から離れて、「どんな習慣でも3週間で形成されるものだ」と誤解されている場合があるので注意して欲しい。

心的飽和(やっていることに飽きてくること。疲労とは違う)現象を考慮しつつ、適切な課題設定とアプローチ、行動計画が大切なのである。

冒頭で「習慣とは、本人に出来上がった癖のことである」と述べた。正しい習慣化とは、生後習得したものの今や役に立たなくなったり悪戯をする癖を滅していくことでもある。

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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