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2019年4月 5日 (金)

能力開発法のエッセンスに通じるハナタカ情報。~暗算しながら正座すると足が痺れない?~

 テレビ朝日の番組「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」からオファーを頂き、ここ浅草橋のスタジオでインタビューに答えたのが2月24日である。

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インタビューのテーマは二つ。いつもなら脳波測定器を道具に脳波研究家として答えるのだが、今回はいずれも脳波に直接は関係の無い内容だった。

3月28日のオンエアで紹介されたのはその内の一テーマだけだったので、今回はそれに絞って振り返りたいと思う。

先ほど、脳波に直接は関係の無いテーマだったと述べたが、実は大いに関係がある。しかし、「説明が難しくなるから」と、脳波の視点からの解説は現場ディレクターに却下されたのだ。番組で割り当てられるコーナーの持ち時間が短いから仕方ない。

嬉しかったのは、全く脳波に触れない解説をテレビ番組から求められたのは恐らく今回が初めてで、活動の場が少し広がった気がすることだ。

能力開発トレーナーを生業にして三十有余年、私にとって脳波測定及びその解析は、クライアントの能力開発を効果的にサポートするための道具である。

能力開発にイメージトレーニングは欠かせない。このイメージトレーニングを効果的に実践するためには、トレーニング者の脳コンディションを客観的なデータで正確に知る必要がある。

そのときの指標はアルファ(α)波である。アルファ波は単なるリラクセーションの指標ではなく、その電位が強くなればトレーニング者は“落ち着いた意識集中”状態に入っていると評価できる。すなわち、聡明な状態だ。この脳コンディションでのイメージトレーニングが効果的なのである。

この目的で長年培ってきた脳波測定及び解析手法が、異分野からも重宝にして頂き、大学や企業の研究機関からも沢山のオファーを受けてきた。それがテレビ番組からのオファーという形にも波及していたわけだ。

いかん、また前置きが長くなってきた。

閑話休題。

今回のハナタカ情報は、マルモさん投稿の「暗算しながら正座すると足が痺れない」だ。

番組が実施した検証は次のようになった。

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この被験者は、ただ正座したときは11分34秒で痺れが限界に達し、暗算しながら正座したときは20分32秒で、8分58秒伸びた。

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他の被験者も、4分20秒、16分0秒とそれぞれ伸びた。

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今回は脳波測定をしていないので、私はこの検証現場に同席していないことをお断りしておく。

さて、この検証結果に対する私の解説は以下の通りである。

「足の痺れというのは、実は脳で感じるんです。」

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「脳というのは同時に複数のことに注意を向けるというのは非常に苦手なんですね。」

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「ですから、暗算にしっかりと集中していると、足の痺れを感じなくなるんです。」

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当然といえば当然だが、このハナタカ情報とその検証は好評だった。

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伊集院光さんが、このハナタカ情報に面白い例を付け加えた。

「長い落語をやってても全く痺れないのに・・・」

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「頭下げて立とうと思ったら立てないっていうケースが、落語凄いよくあるんです。結構名人の人でも、予想外に長くなっちゃったときとかに、緞帳下げないと降りられなくなっちゃうってことが・・・」

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私も昔は割と長く正座していられた。小学生の頃に通っていた書道とそろばんの塾で正座していた経験による馴れだ。

ところが今は、正座しようとすると尻と踵がすぐにはくっつかない。じわーっと尻を沈めていく感じだ。とても長時間の正座は無理だ

生活様式の変化に合わせて人の身体も馴化するのだ。

ベテラン級の落語家であっても、馴化範囲を超える時間正座していると足は痺れる。しかし、噺に集中しているから痺れを感じない。ところが実際には痺れているから立てないわけである。

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先ほども言ったように、当然といえば当然の理屈なのだが、ここに能力開発のエッセンス(本質的で不可欠な要素)がある。

私が解説したコメントを改めて以下に記そう。

1.「足の痺れというのは、実は脳で感じるんです。」

2.「脳というのは同時に複数のことに注意を向けるというのは非常に苦手なんですね。」

3.「ですから、暗算にしっかりと集中していると、足の痺れを感じなくなるんです。」


コメントのキーワードは次の通りだ。

「脳で感じる」

「複数同時に注意を向けるのは苦手」

「あることに集中すると、他のことは無くなる」


ここで、主語を正確に言い直さなければならないだろう。

複数同時に注意を向けるのが苦手なのは、意識(顕在意識)である。

感覚器官で感受した情報は脳に送られて、無意識(潜在意識)が全て処理している。

すなわち、無意識は膨大な情報を刻々と処理しつつ、一筋の情報だけを意識レベルに上げているということだ。

以上が番組内容の振り返りだ。

ここからは、番組のテーマを超えた能力開発講座である。

アスリートでもビジネスパーソンでも芸術家でも誰でも、ここぞというときにビビってしまって能力を十分に発揮できないことがある。

心臓の鼓動は増し、呼吸は早くなり、身体は硬く縮こまり、意識は激しく動揺している。・・・辛い状況だ。

こんなときに思い出して欲しい。意識は一つのことにしか集中できないということを。

ヨーガの行者や高僧は、任意の一点に意識を繋ぎ留めることの達人だ。

成功する人は、“今此処”に集中して取り組むから成功率が高い。

失敗する人は、気掛かりなことに意識が振り回されてしまう。「こうなりたくない」「ああなりたくない」と、失敗場面をイメージする。

失敗する人は、なりたくないイメージをせっせと描きながら、それに抗うように頑張るから失敗する。まるで柔道の返し技を食らって背中から畳に叩き付けられるように。これを“努力逆転の法則”という。

人の努力は、イメージしたことの実現に働くのだ。

意識をある一点に集中したとき、五感は研ぎ澄まされてピークパフォーマンスを発揮する。そして、集中対象以外の情報は意識に上がってこない。

このように、意識がいわゆるゾーンに入ってピークパフォーマンスとなったとき、前頭前野の脳波はファストα波と極々遅いスローβ波までの帯域が強く出ている。

例えば、睡眠時に騒音が鳴ってもスヤスヤと眠っているときがある。

睡眠時はアルファ波よりもゆっくりの徐波、すなわちシータ波やデルタ波が優勢である。

睡眠時に騒音が鳴って目覚める場合は、徐波ブロッキング(徐波が沈静化すること)が起こっている。

逆に、騒音が鳴ってもスヤスヤと眠り続けている場合は、徐波と共に強いファストα波が平行して出る。すなわち、(脳の)ノイズキャンセリング機能の働きがファストα波の増強として観察できるのだ。

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このことについては、本ブログの「ゾーンに入る鍵を握る脳波、ファストα波とは。そして、ある状態との共通点。幸運人生を生きるために改めて見直すべき潜在意識のPMF(パーソナル・マインド・フィルター)。」で既述しているので参考まで。

5年ほど前に流行った「アナと雪の女王」。その挿入歌「Let It Go~ありのままで~」を没入して歌う女子達が当時マスコミでも度々紹介されたが、テレビ番組からのオファーで、そんな女子の脳波を測ったことがある。

没入して(成りきって)歌うその女性は、見事にファストα波が増強していた。この状態を私は“肯定的高揚感”と名づけた。当時のブログ「“アナと雪の女王”の主題歌「Let It Go~ありのままで~」を聴いたときの“肯定的高揚度”を脳波測定で算出。TBS「あさチャン」からのオファーにて。」で詳しく紹介している。


改めて能力開発のエッセンスをまとめると次のようになる。

意識は、複数のことを同時に抱くことが苦手である。一筋の情報に集中したら、その他の情報は上がってこない。

イメージの下(もと)で取り組んだことが実現する。

ここぞというときにビビったら、その心身のビビリを抑え込もうとし続けない方がいい。努力逆転の法則が働いて益々ビビってしまうからだ。

ビビリの敷居に載り、その上で目的達成に向けて集中するぐらいの方が高いパフォーマンスを発揮できる。せっかくのビビリ・エネルギーは、目的達成のために有効利用するべきだ。そうしていると間もなく落ち着いた集中状態となり、ゾーンに入ることができる。

心身の強すぎる雑緊は、パフォーマンス直前の「軽いストレッチ」と「呼吸法」で解消しておけば良い。これも必要以上にやると、力が抜けすぎて本番でのパフォーマンスが高まらないから注意が必要だ。何事も“過ぎたるは及ばざるがごとし”である。

また、自信がまだ弱いために、ネガティブな方向の意識をどうしてもポジティブへ転換できない場合は、他の注目現象を作って強制的にネガティブから意識を逸らす方法もある。

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例えば、スクワットの途中のような中腰を暫く維持していると、すぐに圧倒的な疲れが太腿に生じる。そうすると、意識はその圧倒的な筋肉疲れに向いて、当初のネガティブから脱することができる。

笑いを堪えるために唇を噛んだ経験があなたもあるかもしれない。これも同じ効果だ。意識は最も強い一つの筋情報しか抱けないのだから。

このように生理現象を使ってネガティブから脱し、次にポジティブへと意識を向けるというステップはグリップ力のある意識転換法である。

今回のハナタカ情報をあなたの能力開発に生かして頂ければ、番組に関わった一人として嬉しい限りである。

なお、拙著「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」に、更に詳しい自己統御法を紹介している。

オンエアの画像を、弊社ウェブサイト「脳波測定/脳コン解析・・・テレビ番組協力実績」の事例59コーナーに掲載させて頂いた。

感謝。


セルシネ・エイム研究所 和田知浩
https://selsyne.com/aim/

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