動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」の原稿と画像。
拙著「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」紹介ページ
に、動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」を掲載したので、本ブログには、その原稿と画像を記しておきたい。
こんにちは。セルシネ・エイム研究所の和田知浩です。
この動画では、何かが上手くいかないとき、例えば、目標達成や能力開発がなかなか進まないとき、或いは人間関係でつまずいたとき、そういったときに、自分のどこに注目して自己改善すれば良いのか、その視点をお話しします。
こんなシチュエーションを想像してみてください。
ここはカフェです。あるカウンセラーがカウンターに座って軽食を摂っていました。すると、そのカフェへ、3,4人の客が入ってきて、後ろの少し離れたボックス席に案内されたようです。
カウンセラーが、その人達の会話を聞くとはなしに聞いていると、何やら自分のことを話しているようでした。
「あのカウンセラー、どう?」
「ダメ~! 私に合わないわ・・・」
そして一週間後、その人だと思っていたクライアントがカウンセラーの元に来て言いました。
「また調子が悪くなって・・・」
そのときカウンセラーは何を思い、どんな話しをするでしょうか? 表情は? 態度はどうでしょうか?
さて、同じカウンセラーがこんな体験をしたらどうでしょう。
カウンターに座って軽食を摂っていると、3,4人の客が入ってきて、後ろの少し離れたボックス席に案内されたようです。
カウンセラーが、その人達の会話を聞くとはなしに聞いていると、何やら自分のことを話しているようでした。
「あのカウンセラー、どう?」
「いいわよ~! 私に合ってる・・・」
そして一週間後、その人だと思っていたクライアントがカウンセラーの元に来て言いました。
「また調子が悪くなって・・・」
そのときカウンセラーは何を思い、どんな話しをするでしょうか? 表情は? 態度はどうでしょうか?
同じカウンセラーが同じクライアントから同じ相談を受けても、恐らくカウンセラーが提供するアドバイスは違うのではないでしょうか。そして、それによってクライアントの反応も変わってきます。
もしも同じ様にアドバイスをしたとすれば、そのカウンセラーはいい意味で、よほどの鈍感か、記憶力が乏しいか、天真爛漫か、自制心の達人か、或いは最上級の人格者かもしれません。
セミナーでこの質問をすると、前者と後者のカウンセラーのアドバイスの違いについて、様々な角度からの意見が出ます。
一般的には、前者はクライアントに対して反感を抱いたり、自信を無くしていて、今回の相談は良い結果が得られないかもしれません。或いは逆に、開き直って肩の力が抜け、結果的に適切なアドバイスをするかもしれません。
一方、後者は、クライアントに対して好感を抱いていて、今回の相談にも積極的に、適切なアドバイスができるかもしれませし、逆に、変なプレッシャーを感じて、不調に終わってしまうかもしれません。
パーソナル・マインド・フィルターは百人百様ですから、カウンセラーの反応や思考をここで特定することはできません。
この動画では、ここを掘り下げることはしませんが、とにかく、事前の思い込みの違いによって、その後、同じことを体験しても、多くの人はアクションとリアクションが違ってくる、ということにして、話しを進めたいと思います。
様々な職場で、同じようなことが起こっています。職場に限らず、人が集まる人間関係の場で、或いは自分一人しかいない無人島でも、私達は思い込みのフィルターを通して体験し、そして反応しています。
それでは、自己改善するにあたって、理解するべき「情報循環モデル」について、ざっくりと見ていきましょう。
これが、「情報循環モデル」です。
「出来事」の情報が「本人」を通って、「現状」に出ています。それが「環境」となって、再び「出来事」を作って、そして「本人」に再び入ります。これが繰り返されます。
「現状」というのは、「本人」のアクションに大きく影響されます。そして、「出来事」に対する本人のリアクションによっても作られます。
もちろん「現状」や「環境」、「出来事」は、他人やその他からの影響も沢山受けます。しかし、「本人」周辺は、「本人」が発したアクションとリアクションに強く影響され続けます。
もしも今、あなたがこういう状態ならば、小難しいことをわざわざ考える必要はありません。今のまま人生をエンジョイしてください。そして、果敢に何かに挑戦することもあるでしょう。
しかし、もしも・・・
今のあなたがこういう状態ならば、我武者羅に頑張ったり、何かから逃げたり、無駄な喧嘩をしたり、或いは諦めたりする前に、自身の中の狂った歯車を適切に改善すると良いでしょう。
このレベルで気づくことが大切です。狂った歯車のまま、我武者羅に頑張ったり試行錯誤していると、益々悪循環に陥ってしまうからです。
そうなると、心の専門家にお世話になったり、回復までに長い年月が必要になってしまいます。
「心構え」というのは、物事に対処するための心の準備、予め備えられた“型”のようなものです。また、「心構え」というのは、本人の体験によって作られたもので、ほぼ無意識的に機能しています。
「自身の中の狂った歯車を適切に改善する」というのは、この「心構え」を改善するということです。それでは、「心構え」の働きを、ステップ毎に分けて見ていきましょう。
ステップは6つあります。
現状に作用するアクシ ョンとリアクションとは何か? それは、「言動」です。
この「言動」のベクトルを決めるもの、すなわち言動の方向性と強さを決めるのは、「感情」です。
そして、その「感情」を作るのは、「認識」です。「思い込み」と言ってもいいでしょう。
先ほどのカウンセラーも、カフェでの他人の会話が自分のことを話題にしていると「思い込んだ」わけです。「認識」というのは、実際の出来事によって作られるのではなくて、本人が思い込んだことで作られます。
それでは「認識」は何によって作られるのか? それは、「生理」現象です。「生理」現象によって、「認識」度の強弱が決まったりします。
例えば、「吊り橋効果」や、「笑うから楽しいのか、楽しいから笑うのか」などの考察は、この辺りを検討しているわけです。
先ほどの例で実際に起こったことは、クライアントが来訪して、「また調子が悪くなって・・・」と言ったことだけです。
しかし、カウンセラーにあった事前の「心構え」の違いによって、クライアントの言葉に「生理」が反応し、前者はこうなり、
後者はこうなったかもしれません。
カフェでの体験によってできたカウンセラーの「心構え」は、そのクライアントから久しぶりにセッションの申込みがあった段階でも、既に何らかの「生理」現象が起動するようになっていたかもしれません。
それでは、「生理」は何によって作られるのか? それは、「表象」です。入力されてきた個々の刺激を、ひとまとまりの形に再構成した心の印象です。
そしてもう一つ、「生理」を作るルートがあります。それは、食物や酸素の摂取です。「心構え」を作る上で、このルートも大変重要です。
それでは、「表象」の元となるものは何か? それは、「感受」です。
感覚器官で受け取った刺激の影響は、「感受」では快/不快/中性という風にシンプルですが、感覚記憶の働きによって、この段階で既に、有りの儘の情報が少しだけ変容しています。
こういったルートを情報が縦横無尽に内循環、或いは超内循環して「心構え」を作っています。感覚記憶の影響を受ける「感受」を含めて、各ステップは記憶から影響を受けますから、普通は、このステップ順を固定的に考える必要はありません。
「心構え」は出来事に反応して、「現状」という結果を作ります。そして、その結果は記憶され、「心構え」を更に変容していきます。
私達の「心構え」は、沢山の情報入力に曝されています。
例えば、上司や同僚、部下、業者、顧客、ご近所、PTA、サークル、クラスメート、家族、マスコミなどからです。
特に、権威者や好きな人からの情報は、無防備に循環し、強化されます。
例えば、 “ピグマリオン効果”(被期待効果) 、“プラシーボ効果”(偽薬効果)、“ハロー効果”(後光効果) 、“ホーソン効果”(被注目効果)などもあります。
この情報循環を、自身の手でしっかりとマネジメントすることが重要です。
現状を変えるには、感受から言動までのどこかに、楔を打ち込む必要があります。
自己改善するための心理学は沢山ありますが、それらは全て、このステップのどこかに、何らかのアプローチをする訳です。
情報が内循環する経路は2つあります。“内感経路”と“外感経路”です。
内感経路は、記憶を想起したり、想像を巡らしているときの内的入口です。
外感経路は、出来事など、現実世界に意識を向けているときの外的入口です。
賢く生きるために、或いは素早く言動するために、記憶力や想像力はとても重要です。しかし、時として自分を苦しめる元凶となっていることもあります。
長く尾を引く“間違った心構え”は、この内感経路から影響を受けています。
この様なときは、内感から離れて、極力「表象」や「感受」の外感経路に意識を留め置くことが、“今此処”のフレッシュな世界を享受するコツです。
ここまでお話ししてきた、ほぼ無意識の「心構え」を、「感性的自我」といいます。
最初にお話しした通り、この「感性的自我」のままで人生をエンジョイできているのならば、素晴らしいです。理想の在り方です。
しかし、「心構え」の歯車が狂っているならば、「感性的自我」から、もう一人の自分が一旦離れて、自己改善しなければなりません。その、もう一人の自分のことを、「理性的自我」と言います。
先ほどのカウンセラーの例では、そもそもカフェで噂話を耳にしていたとき、自身の「表象」や外側の「出来事」を、「理性的自我」が点検することで、勘違いを避けることができたかもしれません。
「理性的自我」は、「感性的自我」の様子をしっかりと観察しながら、必要ならば、必要な箇所に楔を打ち込んで、自己改善します。
「感性的自我」の働きは、「慣性の法則」に似ています。すなわち、「物体が外力を受けないとき、その物体の運動は一定を保ち続ける」、という法則です。
共鳴現象によって、本人の「心構え」に類似の「出来事」が誘発されやすいので、その外力によって、「感性的自我」は益々スパイラル的に、その「心構え」を強化します。
或いは、「感性的自我」の在り方に全く関係ない、不可抗力によって突き落とされることもあります。
この様に、何らかの理由で「感性的自我」の歯車が狂ったときには、「理性的自我」が外力の役割を担って、しっかりと「感性的自我」を改善します。
ただし、この様に2つの自我があるとき、すなわち「観察される自我」と「観察する自我」があるときは、最も素晴らしい、最高の状態であるとは言えません。何かに没頭し、人生を最高にエンジョイしているときは、「“理感一体”である」、ということも、覚えておいてください。
以上が、「情報循環モデル」の概要です。詳しい内容と実践方法は、この本「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」に書いていますので参考にしてください。
また、パーソナルサポートやセミナーのプログラムも用意しておりますので、是非ご利用ください。
以上が、昨日アップした動画「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考える」の原稿と画像である。
セルシネ・エイム研究所 和田知浩
https://selsyne.com/aim/
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