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2024年9月14日 (土)

vol.352 TBS「ガラッとチェンジマン」からのオファーで解説。寝起きの悪い子供が、蚊の羽音のモノマネでサッと目覚める理由。2024.9.14

 今月6日にTBSの番組で私が解説したシーンが放送されたのでいつものように振り返る。

 

 担当者から初めて電話を頂いたのが6月14日。特番の「ガラッとチェンジマン」で、「寝起きの悪い子供に蚊の羽音のモノマネを聞かせるだけですぐに目覚める」理由を解説して欲しいというもの。

 

 今回は脳波測定ではなく、コメントだけのオファーだ。

 

 昨年大晦日に放送された日本テレビの番組「笑って年越し!THE笑晦日」で、寝起きの悪いタレントが蚊の羽音で見事に起きた一件もご存じだった。

 

 この「笑って年越し!THE笑晦日」の模様は、ブログ『vol.344 日本テレビ「笑って年越し!THE笑晦日」で実験した「目覚めの悪い人でも蚊の飛ぶ音ならすぐに起きる」を解説したインタビューで失敗するに行き着くまでの数々の選択ミス。2024.1.4』で紹介している。

 私の元には、大学や企業の研究機関やユニークな方達からの色んな脳波測定案件が舞い込んでくる。独りで脳波の研究をしていたらとても思いつかないような目的やシチュエーションでの脳波測定である。

 

 眠っている人が小さな蚊の羽音だけで起きるのかという実験も、私独りではやってみようとはしなかっただろう。

 

 今回の実験は、実際の蚊の羽音ではなく、お母さんの生のモノマネ音声だ。

 

 よって、いわゆるモスキート音とは言えない。

 

 モスキート音(蚊の羽音)とは、とても周波数の高い不快音で、聴力が少し弱った中高年の意識レベルに上がることは無い。コンビニの庭先にたむろする若者を撃退するために設置さたと話題になることもあった。最近も、ご近所関係のトラブルで、モスキート音が関係していたのではないかとのニュースが流れた。

 

 でも、今回は優しいお母さんのモノマネ音声だ。それでも、寝起きの悪い子供が簡単に目覚めるのはなぜか?

 

 番組ディレクター達とのZOOMミーティングが、6月18日と決まった。

 

 私なりの解説をするためにパワポ資料を用意して臨んだ。アニメーションも駆使して約7分にまとめた。

 

 詳しくは公開できないが、一部のパワポ画像を以下に紹介する。

 

 この意識の図は、私からの情報を受けとっている諸氏には馴染みのものだ。それに、蚊のイラストを加えた。

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 これは、覚醒時の脳コンディションに関する解説だ。同じ目覚めでも、オレキシンとセロトニンなら幸福感を伴い、オレキシンとドーパミンなら意欲的に目覚める。オレキシンとノルアドレナリンなら機動的(戦闘モード)な目覚めとなる。

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 目覚めるときには神経伝達物質のオレキシンが分泌されている。それと同時にどんな神経伝達物質が一緒に分泌されるかで気分が違うのだ。

 

 例えば、お風呂にゆったりと浸かっているときに、思い立ってサッと湯船を出ることがあるだろう。あの急速な覚醒が神経伝達物質オレキシンのなせるワザである。そして、思い立った内容によって、セロトニンかドーパミン或いはノルアドレナリンが伴って分泌されて、それぞれ特有の気分転換を実現する。

 

 それでは、蚊に刺されて起きるときはどうか? これは、痒みによってノルアドレナリンが分泌されて機動的な覚醒となるのである。

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 「蚊の羽音」→「蚊に刺されて痒い」→「ノルアドレナリンの分泌」という体験を繰り返し、或いは大きなインパクトをもって一度体験すると、以下のようにパブロフの条件付けが作られる。

Blog35204

 

 

 すなわち、「蚊に刺されて痒い」体験をしなくても、「蚊の羽音」を聞いただけで「ノルアドレナリンの分泌」が起こるのだ。

 

 弊社でのロケは6月26日と決まった。

 

 OAではカットされていたが、蚊の羽音のモノマネ音声で子供が目覚めるのはなぜか、その重要な仮説を以下に2つ述べる。

 

 1.蚊ならではの暗示効果がノルアドレナリンの分泌を高める
 重要なのは暗示である。暗示がてこのように働いてアドレナリンの分泌をてごをする。

 

 余談だが、島根では私の親世代が“てごーする”とよく言う。この“手伝う”という意味の“てご”とは、てこ(梃子)と同じである。“梃子の原理”の梃子だ。

 

 閑話休題

 

 暗示とは「物事を明確には示さずに、それとなく伝える」という意味だ。

 

 蚊の羽音は小さいが故に、その小さな音が聞こえるという事実を以て、危機(痒い思いをする)がすぐ近くにあることを暗示する。だから飛び起きる。飛び起きなくても、覚醒度は一気に高まるのだ。

 

 ステップ1「蚊の羽音はとても小さい(事実)」
 ステップ2「羽音が聞こえるから蚊が、すなわち危険がとても近い(暗示)」
 ステップ3「潜在意識がノルアドレナリンを大量に分泌し、顕在意識の早急な対応を促す(覚醒)」

 

 小さな声でも子供がパッと目覚めるので、親にとってはコスパがいい。すなわち、掛ける労力と時間に対して成果が大きい。

 

 痒い思いを想起させるなんて子供がかわいそうと思うかもしれないが、親が長時間苛々して起こすのよりはよっぽどましだ。

 

 2.ものまねでも効く訳
 それは、刺激汎化という現象だ。
 蚊の羽音が聞こえたら目覚めるという条件反射が一旦形成されると、その後は、本物の蚊の羽音でなくても、それと似た音であれば同じように反応、すなわち目覚めるのだ。

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 一瞬のOAだったが、楽しく有意義な克服法だった、と思う・・・

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 お試しあれ!

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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