カテゴリー「6.テレビ番組協力」の67件の投稿

2024年1月18日 (木)

vol.345 NHK総合の番組「世界!オモシロ学者のスゴ動画祭」に脳波測定協力した際に、対テレビ番組としては初めて締結した「秘密保持契約」。2024.1.18

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 今月16日にNHK総合で「世界!オモシロ学者のスゴ動画祭7」が放送されたのでいつもの様に振り返る。
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 と、いつもの様に書き出したが、今回はそれができない。

 実験協力する前に3者間で「秘密保持契約」を締結したからだ。

 大学や企業から「脳波測定/脳コン解析サービス」を受注する際に秘密保持契約(NDA:Non-Disclosure Agreement)を交わすことはある。

 テレビ番組に協力する際も、在京の1局は現場で誓約書にサインを求めてくる場合がある。エキストラに対して示すような文面だ。これに署名したからといって私の行いが変わることはない。

 しかし、今回の要望はしっかりと受け止めて進めなければならないと感じたので、私の気持ちと考えも伝えた。

 後日、契約書案が提示され、概ね合意した。別途要望していた秘密保持契約料についてもその金額を決定した。

 実験当日には印を持参し、実験前に押印してから脳波測定を開始した。

 この番組は、NHK+で今月23日(火) 午後8:45 まで視聴することができる。
https://plus.nhk.jp/watch/st/g1_2024011631628

 OA画像はいつものように弊社「テレビ番組協力実績」紹介ページに掲載した。

 好きな人の「シャー」という声をシャワーで聞く癒し効果、商品化されるといいね!

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2024年1月 4日 (木)

vol.344 日本テレビ「笑って年越し!THE笑晦日」で実験した「目覚めの悪い人でも蚊の飛ぶ音ならすぐに起きる」を解説したインタビューで失敗するに行き着くまでの数々の選択ミス。2024.1.4

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 ロケの後、「ハーッ」とか「クソー」とか・・・、溜息と感情が何度も繰り返し私の口を衝き、それは放送された大晦日まで続いた。

 番組担当者から初めて電話をもらったのが11月30日。昔レギュラー放送していた「伊東家の食卓」が大晦日のスペシャル番組で復活するので、当時紹介した“裏ワザ超快テック”を改めて検証したいとのことだった。

 検証する裏ワザ超快テックは、「目覚めの悪い人でも蚊の飛ぶ音ならすぐに起きる」である。

 担当者から「和田さんの言葉で解説して欲しい」と言われた。無論問題ない、望むところだ。睡眠脳波をリアルタイムで解説することはいつもやっていることだ。

 12月4日にはディレクターから電話をもらい、準備する機材や裏ワザ超快テックの見解等を摺り合わせた。昔のレギュラー放送時に解説された“ピンクノイズの効果”については割愛した方が無難であることも意見が一致した。

 電話を切った後に思った。「うん? これは私がこの裏ワザ超快テックを推薦する立場なのか? 私が伊東家の人々の厳しい目に晒され伊東四朗さんに鐘で判定されるのか? 私は脳波測定して深い眠りを実況すれば良いだけではなかったのか?」

 この懸念は担当者にメールで伝えつつもチャレンジすることにした。

 寝付くため、或いはスッキリと目覚めるためのグッズや方法をこれまでにも脳波測定で検証してきたので、セルシネにはこの分野の知見も沢山ある。目覚める方法に、且つメディア紹介されたケースに絞っても、例えば以下のような経験をしてブログに投稿してきた。

■vol.237『日テレ「所さんの目がテン!」-「朝の科学」「鉄道博物館の科学」。先月は2つのテーマで脳波を測定した。』 2013.5.2
https://selsyne.com/aim/blog/2013.htm#237

■vol.290『仮眠のうまいとり方・・・。テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと。くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」からのご用命で。』 2017.5.30
https://selsyne.com/aim/blog/2017.htm#290

■vol.317『朝スッキリと素早く目覚める絶妙の楽曲を紹介。TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」からオファーを頂いて。』 2019.10.23
https://selsyne.com/aim/blog/2019.htm#317

■vol.324『目覚め方のコツと重要性。毎日放送「林先生の初耳学」~誰でも起きられる目覚まし音を作れる?~で、終夜睡眠脳波を測定して。』 2020.9.11
https://selsyne.com/aim/blog/2020.htm#324

■vol.325『目覚めが悪い芸能人を起こす方法の第二弾。毎日放送「林先生の初耳学」からのオファーで“わさび臭”の目覚まし効果を検証。』 2020.12.18
https://selsyne.com/aim/blog/2020.htm#325

■vol.333『極寒極霧の屋外ロケ。TBS「水曜日のダウンタウン」で検証した脳の逆サプレッション機能。』 2021.12.5
https://selsyne.com/aim/blog/2021.htm#333

 そもそも今回の検証は、私の本職である「能力開発/目標達成の支援」という側面からも重要なテーマであり、脳内の情報伝達について様々な場面で発表してきた。脳波測定は、メンタルトレーニングを効果的に実践する方法を研究するための道具として始めたことだ。かれこれ37年になる。

 例えば、書籍「宣言 アファーメーション・バイブル ~言霊の生かし方~」では、「意識の図」として紹介している。全ての情報はまず潜在意識で受け取り、そこで取捨選択や減衰/増強が為されたごく一部の情報だけが顕在意識に昇ってくる。
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 潜在意識のこのような情報コントロールを顕在意識が制御できるようになってくると、人生の運が良くなり楽になるのだ。

 動画では「セミナー風景-潜在意識について」

 「第1回「ジブリメーション研究開発」の様子」

 「目標達成や人間関係がうまくいかない時の自己改善法を『情報循環モデル』の視点で考えるVer2」 Blog34402

 等で発信している。

 脳内情報のコントロールは人生成功に欠かせないのだ。

 脳における情報の“取捨選択と減衰/増強”機能を視聴者に分かり易く端的に伝えるためのセリフを考えた。何度も何度も練習しつつ文章をブラッシュアップした。それが以下の文章である。

 『人が受け取る音は、聴覚を通じてまず無意識の領域に入ります。そして、一部の音だけを意識レベルに上げています。
 このような働きを「パーソナル・マインド・フィルター」と呼ぶんですが、眠っている時には当然殆どの音をブロックして、安眠を維持します。
 しかし、過去の不快だった体験に結びつく音が入ってきますと、その音を意識レベルに上げて目覚めさせ、回避行動をとらせるんです。』

 セミナー等では、“顕在意識”や“潜在意識”と呼ぶが、ここではより分かり易く“意識”や“無意識”とした。ただ、“パーソナル・マインド・フィルター”だけは敢えて入れた。もしも、更にそれっぽい用語を使った説明をリクエストされた場合には、“視床”の働きを簡単に話そうと思っていた。

 長さも極力切り詰めたが、それでも約35秒掛かった。後は編集に任せるしかない。

 ロケ当日(12月8日)は、ロケ現場に指定された浅草のホテルに1時間前には到着した。撮影クルーの到着を待つ間、ロビーのソファーに座って最後のリハーサルを繰り返した。目標達成の基本であるJR(準備と練習)はこれでバッチリだ!

 程なく撮影クルーが到着し、10階の撮影現場に案内された。今にして思えば、ここから私の選択ミスが重なっていったのである。

 ディレクターに会うなり、「インタビューは研究所(セルシネ)でやりたい」と言われた。私は、研究所と言っても自宅マンションの一室であること、そしてちょうど大規模修繕工事中であることを伝えて渋った。セルシネのHPに掲載しているその一室(セッションルーム兼執務室)をスマホで開きディレクターに見せた。

 ディレクターは一瞬迷う反応を見せたが、それでもセルシネでインタビューしたいと切り返してきた。もう応じるしかない。

 家族にメールで事情を伝え、撮影作業の邪魔にならないように応接テーブルを移動しておくように頼んだ。

 ホテルでは、実験ロケが始まった。被験者は四千頭身の都築拓紀さん。脳波測定器はBrainPro「FM-939」を用いた。ベッドサイドのテーブルに置かれている黒いマシーンがそれだ。 
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 隣の部屋で、後藤拓実さん、石橋遼大さんと共に睡眠の様子を見守った。脳波解析PCアプリは「AnalyzerPlus」である。その中のヒートマップを中心に睡眠深度を解説した。
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 測定開始から35分が経った頃、強いδ波がしっかりと継続したので「一番深い眠り」であると私が判定し、石橋さんが音源を持って隣の部屋へ向かった。
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 “蚊が飛ぶ小さな音”で起きるのか・・・
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 結果は、放送された通りである。

 実験ロケはとてもうまくいき安堵した。このままホテルでのインタビューなら問題ないのだが、ここから練馬の我が家(セルシネ)に移動してのロケだ。家族にメールで念押しした。

 ロケバスにはディレクターとスタッフの2人が乗車した。インタビューはディレクターがカメラマンを兼ねるのだなと思った。よくあることだ。移動中私は、例の解説を改めて繰り返し練習した。

 そして、我が家に到着。ロケバスを降りると、なんともう1台のロケバスが後に着けた。カメラマンや音声さんなどの技術部隊も来たのだ。とても全員は部屋に入られない。

 慌てて私だけ7階に急いだ。スタッフに「ちょっと待ってて」と声を掛けてから向かえば良いものを・・・。これも行動選択のミスだ。

 玄関を入ると廊下に大きな段ボールが出ていた。「なんでこんなもん出しとるん」と家族に文句を言いながら片付けた。マンションが大規模修繕工事中のためベランダの物を部屋に入れていたり、年末の掃除とも重なってゴチャゴチャだったのだ。

 セッションルーム(唯一のセルシネ部屋)を確認するとテーブルは移動してくれていたが、散歩用の服が掛かっていたりゴミ箱にゴミが溜まっていたのでそれらを片付けた。玄関に入ってから1,2分が経過しただろうか?

 スッキリとインタビューを受けたかったので最後にトイレに入った。膀胱から3分の2程を放尿したときにインターホンが鳴った。家族に「出んでえーでー」と大きな声で伝えながら完放した。

 リビングのインターホンにはエントランスのクルーがまだ映っていた。ドアを開けるボタンを押して「降りまーす」と伝えた。なんで? いつものように、乗るエレベータを伝えて来訪を待っていれば良いものを・・・。これも行動選択のミスだ。

 どのエレベーターに乗ったら良いのか分からないから、クルーは夜空のコンコースで点々と立っていた。申し訳ない。

 7階に上がり、セッションルームに案内した。クルーはすぐに撮影配置を検討しはじめた。椅子を訊かれたが、数日前に背もたれが折れたので机の下にもぐらせていた。

 「何か椅子はありませんか?」と訊かれたので、移動していた補助椅子を一つ持ってきた。確かに、主が来客用のソファーに座っていたらおかしい。(視線の高さを合わせるために)ディレクター用の椅子もリクエストされたので、もう一つ補助椅子を持ってきた。

 「マスク(備品の箱)はどかして良いですか?」と訊かれ、「はい」と答え、机の上が殺風景だったので、「このメカニカルな脳波測定器を置きましょうか?」と提案した。 

 2台のカメラ位置が決まり、マイクも付けられた。他のスタッフは廊下で待機している。

 そしてSit down. 座ると間髪無くディレクターからインタビューの質問が一言発せられた。
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 そこでまた私は行動選択のミスを犯した。例のセリフを全部通して喋りだしたのだ。本当は、覚えたセリフを一旦脇に置いて(忘れて)、ディレクターの質問に完全一致の回答を短く返すべきだった。これもミスだ。

 喋っているとすぐに息が上がり始めた。水泳選手がレース直後にインタビューを受けている感じだ。否、私の場合は、取組後にインタビューを受けている関取の感じと言うべきか。

 一旦ストップして数分の有余をもらい息を整えれば良いものを、息も絶えだえに喋りきった。俳優さんがテレビ番組で時たま言う「監督からストップの声が掛かるまで演技を止めない」の言葉が頭をよぎり、バカなチャレンジ精神にスイッチが入ったのだ。これも選択ミスである。

 練習時の35秒が、この時は40秒以上掛かったのではないだろうか? セリフが所々で一瞬出てこなかった。

 インタビュー時にはセロトニンかドーパミンの脳内環境で応じたいものだが、恐らくこの時の私の脳内にはノルアドレナリンが、或いはそのノルアドレナリンがアドレナリンにまで変化して放出されていただろう。

 喋りきった後に「緊張したー」と言うと、ディレクターも「(緊張しているのが)分かりました。(カンペを)書きましょうか?」と訊かれた。しかしそれはお断りした。カンペを読み出すともっとグダグダになるからだ。ディレクターもそれは分かっていて、私の希望を受け入れてくれた。

 ディレクターから改めて幾つかの質問をもらい、それに一つひとつ答えた。しかし、息はまだ整わない。喋った内容もまだ納得してもらっていないようだ。

 「脳の“視床”という部位を絡めて説明しましょうか?」と訊ねると、ディレクターは「いいえ、“無意識”という言葉さえ使いたくないと思っています」と。

 正味10分弱のインタビューとなっただろうか? 「これリハーサルですよね?」と駄目元で言ってみたが、ディレクターにはあっさりと却下された。「後はつなげて(編集して)なんとかします」と。

 撮影が終わった後、カメラマンに「和田さんも緊張するんですか」と言われたから、傍目にも本当にそう見えたのだ。

 クルーが帰った直後から、「ハーッ」とか「クソー」の溜息と感情の無意識的な吐露が始まった。

 大晦日の放送直前に投稿したメルマガ3誌共通号外「年末のご挨拶」でも次のように書いた。

 ・・・前略・・・四千頭身(都築拓紀さん、後藤拓実さん、石橋遼大さん)と共演して睡眠脳波を測定したのは良かったのですが、他のシーンではとても緊張したので、「見るなよ、見るなよ」(故・上島竜兵さん風)と言いたい気分です・・・後略・・・

 18時39分過ぎ、とうとうこのコーナーが始まった。全国に醜態をさらすのかと覚悟した。
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 「あれっ、いい感じじゃん」と思った。

 さすがプロのカメラマンだ。画角もホワイトバランスもピントもバッチリだ。当たり前と思うかも知れないが、ディレクターやアシスタントが撮影した場合は今一つのことが普通にある。やはり画が違う。

 私の喋りは21秒、ナレーションを加えても29秒。トータル5分25秒間に楽しく且つ分かり易くまとめられた“裏ワザ超快テック”の紹介で、CMもまたいだ。

 部屋にあった脳波の専門書と私の著書を見つけた制作スタッフがデスクトップPCの横にこんな風に並べてくれていた。

 今にして思えば、せっかく大きなPC画面が写っているのだから脳波グラフの動画を再生すれば良かったと思う。後のソファーにも埃よけを掛けたままだった。

 写ってはいないが、私の頭上には“濡れタオル”を掛けるための紐を張ったままだった。

 加湿器はメンテナンスが重要だし、機種によってはカルキが壁やカーテンに付着してしまう。だから私は古典的な濡れタオル掛けに戻している。それでもちゃんと湿度計の数字が5分毎に上がるのが分かる。

 閑話休題

 そんなことにも気づかないほど、ロケ当日の私はバタバタだったのだ。

 幾重も重ねた行動選択のミスだが、編集の妙でどんでん返しの出来となり、この番組が私の宝物(誇れる実績)の一つになった。

 そして、24日も続いた「ハーッ」と「クソー」の溜息と感情は、放送を見た途端に「ホーッ」「良かった」に一変した。

 一つ間違いがあったので訂正しておく。

 私が斜めからペンで指し示したポイントがずれて見えたようだ。デルタ波の帯域幅を示す青い四角はシータ波まで被っている。実際にはこの半分の幅がδ波の帯域である。
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 アルファ波の帯域を示す赤い四角は、ベータ波の一部である。実際は画面上の青い四角の右側までずらさなければならない。

 ヒートマップの横軸目盛りに周波数の数値が半分見えるので、黙ってやり過ごすわけにはいかない。一般視聴者には問題ないと思うが、脳波を学ぶ人には念のため訂正しておく。

 各脳波(定常波)区切りの詳細は、セルシネHPの「ノウハダス」―「4.脳波の種類と特徴」に掲載している。

 コーナーの終了直前のワイプには、欲目だが伊東四朗さんも納得されているように見えて嬉しかった。
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 今月7日の16時14分まで、TVerでこの番組が視聴できるようだ。

 また、蚊が飛ぶ音を番組HPからダウンロードできる。是非、お試しあれ!

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感謝!

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2023年11月 1日 (水)

vol.342 TBSの新番組「嗚呼、楽に生きたい。」からのオファーで、間接照明の快眠効果を脳波解析で検証。ズボラな人達から満場一致の好評価サプライズも。2023.11.1

10月28日(土)の14時から放送されたTBS新番組の特番「嗚呼、楽に生きたい。」で私が睡眠脳波測定をしたシーンが紹介されたので振り返る。

土曜の昼下がりという、パイロット的な番組が放送される関東ローカルの時間枠だ。
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番組の副題はちょっと調べただけでも色々出てきた。

1.ズボラな人でもマネできる!楽に人生を豊かにする(秘)テク

2.ズボラな人向けHow To バラエティ

3.ズボラな人でもラクに出来る(秘)テク!

4.ズボラ人間待望の新番組!その道のプロが実践する人生をラク~に生きるためのテクニック【楽テク】を徹底検証!

要は、「ズボラな人でも試してみようと思えるテクニック」なのかで、今回は6つの楽テクが紹介され【神楽テク】認定を目指した。

楽テク1.お腹のお肉をつまんで○○するだけ!魔法の4文字を言うだけ!ズボラ芸能人も驚きの超楽チンお腹やせ!

楽テク2.3週間でウエストマイナス○センチ!脅威の結果が!

楽テク3.アレを入れるだけ!ズボラも納得!から揚げ日本一の味を再現!?

楽テク4.夫婦喧嘩中のMAX REINAに奇跡が!夫婦円満の楽テク!

楽テク5.スマホ1つで超熟睡!ズボラ快眠術とは!?

楽テク6.知らなきゃ損!すぐに実践できるズボラ錬金術!2週間で○千円分のお小遣い!?

番組MCは南海キャンディーズの山里亮太さん。

楽テクを判定するズボラ芸能人は飯尾和樹さん、おいでやす小田さん、磯山さやかさん、朝日奈央さんの4名。観覧者16人も加え計20人が全員「やってみたい」札を挙げたら神楽テク認定という厳しい条件だ。

5つ目に紹介された「スマホ1つで超熟睡!ズボラ快眠術とは!?」が、今回私が脳波測定で協力した楽テクだ。

提唱されているのは杏林大学名誉教授の古賀良彦先生(精神科医)である。
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5年半前にもTBSの番組「ジョブチューン」で、同氏が解説するGABAの快眠効果を脳波測定で検証したことがあり、本ブログで「睡眠負債を改善する食べ物。TBSの番組『ジョブチューン』からのオファーで脳波測定した結果。」のタイトルで紹介した。

それでは、今回のズボラ人間でも出来る楽テク「スマホ1つで超熟睡!ズボラ快眠術とは!?」の結果を紹介しよう。

ロケは、10月9日から11日に掛けてTBS近くのホテルで行われた。
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ここで、番組プロデューサーの睡眠脳波を2夜連続で測定し、「真っ暗な部屋」で寝た場合と「間接照明の部屋」で寝た場合の睡眠状態を比較した。

ズボラ芸能人の皆さんが快眠法感を述べた後、古賀先生による間接照明の快眠効果についてプレゼンがなされた。
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私は、ディレクターに脳波センサーを装着した後、隣の部屋で睡眠の様子を見守った。
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脳波解析アプリ「AnalyzerPlus」の見方は「睡眠脳波ラボ」にて紹介している。

結果はこの通り。ヒートマップを見るとノンレム睡眠(徐波睡眠)の差が一目瞭然。
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初回ノンレム睡眠の継続時間はこの通りである。
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この検証シーンに与えられた時間は僅か1分とのことだったが、私はいつものように刻々と変化する脳波を解説し続けた。後で編集される際に役立ててもらうためだ。

ロケの後日、脳波解析結果をレポートにまとめて提出した。その一部を少し改変して紹介する。

今回の検証では、初回のノンレム睡眠に着目し、その「始まり時刻」「継続時間」「δ波の平均電位」の3つを指標に睡眠の質を評価した。

初回のノンレム睡眠を評価することで終夜睡眠全体の質を概ね推定することができる。

「始まり時刻」(入眠ポイント[時間]までに要した時間)を入眠潜時と呼び、α波が途切れたポイントを指す。ただし、今回はα波の増減が判別しずらかったため、δ波が増強しはじめたポイントを「始まり時刻」とした。

もっとも、入眠を判定するのは「α波の途切れ」よりも「δ波が増強しはじめる」ポイントとするのが本来正しい。ただ、α波の途切れポイントの方が判別しやすいので普段はα波を指標としている。

標準的な入眠潜時は5分~20分程で、30分を超えると軽い入眠困難、3分以内の入眠は逆にお疲れ(睡眠不足)状態とも言える。

ノンレム睡眠の「継続時間」は概ね50分~80分程度。

深い睡眠と言えるのは「δ波の平均電位」が70μV以上であることが判定基準となる。Analyzer Plusは1.0Hz、1.5Hz、2.0Hz、2.5Hz、3.0Hz、3.5Hzのδ波帯域6本の電位を出力するので、この合算をδ波の電位とする。

これが、δ波の電位推移である。δ波が増強しはじめてそれが持続し、そしてノンレム睡眠(徐波睡眠)の終わりと共に途切れる。
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この結果をExcelでグラフにした。
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入眠潜時は1日目が47分56秒、2日目が17分34秒。

ノンレム時間は1日目が32分24秒、2日目が57分56秒。

δ波平均電位は1日目が71.4μV、2日目が94.8μV。

なお、1日目が「真っ暗な部屋」で寝て、2日目が「間接照明の部屋」で寝たものだ。

3つの指標全てにおいて「間接照明の部屋」で寝た方が睡眠の質として好評価となった。

基本的には、入眠潜時は短い方が良い、ノンレム時間は逆に長い方が良い、δ波平均電位は高い方が良いのだが、一瞬で視聴者に伝えるにはゴチャゴチャして分かり難いという理由で、先に紹介したヒートバップとδ波平均電位に絞られた。

本ブログの読者諸氏には3つの指標を提供したので、じっくりご覧いただき理解して欲しい。

完璧なプロトコル(実験手順)に沿ったものではなく被験者も一人だから、これを以て確定的なことはもちろん言えないが、とても興味深い結果となった。

放送ではとても嬉しいサプライズもあった。

なんと全員が「やってみたい」の札を挙げ、番組初の“神楽テク”認定となった。
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私は検証した立場だから喜ぶのは的違いだが、コーナーに関わった者として嬉しいのは当然なのである。
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期間限定ながら現在Tverの該当ページで視聴できる。

感謝!


セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2023年3月13日 (月)

vol.336 エアウィーヴマットレスとウレタンマットレスの快眠効果を脳波測定で比較検証。MBS「日曜日の初耳学」からのオファーを受けて。2023.3.13

今月5日にテレビ番組「日曜日の初耳学」の初耳トレンディで私が脳波測定協力した様子が放送されたので振り返る。

 

今回のトレンドワードは「春の睡眠」で、快眠を得るための様々な方法が紹介された。

 

番組ADから脳波測定の相談メールをもらったのが1月26日。「エアウィーヴマットレス」と「通常のマットレス(ウレタン)」の快眠度を比較、併せて米軍式睡眠法も検証したいとのこと。

 

実験方法などを遣り取りする中で、30日には被験者がオードリーの春日俊彰さんであることが分かった。

 

「うーん、大丈夫かなー」と私の頭をよぎった。春日さんの脳波は2年前に他の番組で測定したことがあり、その際は結局眠ることができないまま朝を迎えた。楽しくも過酷な設定だったので、眠れなくても致し方なかったのではあるが。

 

その番組は以下のブログで紹介している。

 

vol.332 本気チャレンジの遊びが、普段の脳波測定実験では得られない知見を提供してくれた。TBSテレビ「水曜日のダウンタウン」からのオファーを振り返る。2021.9.20 

 

ただ今回は「眠れなかった」では企画失敗となるから、念のためADにこの情報を伝えた。

 

2月9日、麻布十番のハウススタジオでロケは行われた。地下鉄から上がったここから徒歩数分の所だ。
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クルーによって撮影機材がセッティングされ、私も脳波測定機材の配置と測定テストに万全を期した。

 

今回の実験に商品を提供されたメーカーの睡眠健康指導士と広告代理店、ヘッドスパの施術者とマネジャーの皆さんとご挨拶を交わしつつ春日さんの到着を待った。

 

程なくして春日さんが到着し、打ち合わせと準備をしている様子が伝わってくる。

 

そして、私たちが控えていたリビングに春日さんが現れ、導入の撮影が始まった。
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カメラマンやディレクター達の後ろで、私は春日さんの気が散らないように極力気配を消しつつも、ロケの進行と春日さんの言動を把握することに努めた。

 

そしていよいよ脳波測定である。

 

寝室に移動した春日さんの元に私も呼ばれ、今回初めて言葉を交わした。ディレクターから「春日さんは眠れると思いますか」と質問された私は、「春日さんなら眠るんじゃないですかね」とそれまでの自身の発言をひるがえす返答をしてしまった。

 

そして、(オンエアではバッサリ不採用だったが)一頻り前回の過酷ロケについて春日さんと話に花を咲かせた。

 

そもそも「水曜日のダウンタウン」で入眠できなかったのは、先にリンクしたブログで紹介した通りの条件なのだから・・・。今回導入部の春日さんのコメントを聞いていて、リベンジするんじゃないかと思えた。

 

実験の成功を祈りつつ、春日さんに脳波センサーを装着した。
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リビングをモニタールームにして、刻々と送られてくる春日さんの脳波と暗視カメラの映像に対峙した。

 

編集される際のヒントとなるように、入眠やその深度はもちろんのこと、体動や環境変化などのイベントがある度に脳波と照らし合わせながら実況解説していく。
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そして無事に睡眠脳波測定は終了した。

 

睡眠脳波の測定は当然長丁場となるのだが、春日さんの寝つきが良くて、当初予定よりも早く比較データが取れた。

 

エアウィーヴマットレスとウレタンマットレスの快眠効果に明かな差があったので、この結果比較棒グラフを示しながら総評を述べた。
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中央棒グラフ中の手前カラー棒グラフがエアウィーヴ、それに重なった奥グレーの棒グラフがウレタンである。どちらもノンレム睡眠期間の平均ボルテージなのだが、エアウィーヴの方がデルタ(δ)波(紫色)と睡眠紡錘波(オレンジ色)が強いことが分かる。

 

グラフの見方の詳細は弊社「睡眠脳波ラボ」に掲載しているので参照されたい。

 

自信を持って解説したが、番組制作側には満足してもらえないという“あるある”現象にはまってしまった。番組視聴者は必ずしも脳波に関心があるわけではなく、出演者や他のことに興味があったり、ながら的に観ているという前提があるのだろう。私がセミナー受講者に話すのとは違って当然である。

 

とはいえ春日さんが無事入眠し実験結果も肯定的となったので、皆さんとハイタッチをするぐらいの気分で意気揚々と現場を後にした。(中立で評価すべき測定者の態度としては失格かもしれないが)

 

ロケ翌日の10日には改めて脳波測定結果のグラフとExcelにデータを読み込んで解析したグラフ及び測定中のイベント(要点)を時系列に列挙してADにメール添付で送った。

 

例えば、このグラフはノンレム睡眠時のデルタ波に注目した比較である。
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左の比較グラフはデルタ波全域の平均電位で、右はデルタ波の中でも1Hzに絞ったグラフである。1Hzのみの方がより深い睡眠ステージ(熟睡)の指標となる。本当はもっと低い周波数も観たいのだが、本システムでは1Hzが限度である。現在、メーカーにはもっと低い周波数も測定できるモデルの開発を提案している。

 

話を戻そう・・・

 

一目瞭然、エアウィーヴのデルタパワーが強いことが分かる。デルタパワーが強いと、身体の回復力においても有利だと言われている。

 

次に、12日に番組へ提供した経時的分布グラフを紹介しよう。

 

時系列で脳波の変化が俯瞰できるので、入眠潜時(寝落ちするまでに要する時間)や睡眠深度の変化がよく分かる。
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白の半透明にした部分が入眠潜時で、エアウィーヴの最初に強いデルタ波が出ているように見える箇所は体動によるアーチファクト(筋電ノイズ)である。春日さんが寝る態勢を整えている準備中ということだ。

 

モニタールームに戻ってその様子を確認しつつ私も観察態勢を整える動きをしていた。

 

するとその直後、そらしていた視線を戻すと「一瞬アルファ波が出た後に消失している」ことに気づいた。

 

おもわず「わっ、もう眠った・・・」と小声で叫んだ。

 

その後春日さんは二度ほど体動し、5分頃のアルファ波を最後に覚醒アルファ波は出なくなった。

 

一方ウレタンマットレスに寝たときは、覚醒アルファ波が28分頃まで続いているのが分かる。

 

30数分から40分手前までは覚醒アルファ波と睡眠紡錘波(アルファ波とベータ波の境界付近)が共に出ているような、何とも判定者泣かせの脳波が断続した。

 

入眠判定は覚醒アルファ波の消失をもって宣言するが、そのアルファ波の断続が何度も繰り返すことがある。

 

その場合は、「ネタ、オキタ、ネタ、オキタ・・・」と宣言を繰り返すことになる。

 

これを避けるために、アルファ波の消失経過時間を長めにとることもある。

 

今回は実験の性質上、入眠判定条件を厳しく(長めに)した。

 

同じアルファ波でも、覚醒アルファ波から睡眠紡錘波(Sleep spindle)へとシフトしているのが分かるだろうか。

 

睡眠紡錘波は12~14Hz程度とされるが、希に10Hz辺りで観察されることもあるので注意が必要だ。

 

このように、快眠度(質の良い睡眠)を評価する際には、入眠潜時やデルタパワー、いわゆる90分サイクルのパターンや経時的分布グラフによる俯瞰など、定量/定性の両面を駆使する。

 

製品開発の指標として、あるいは商品の訴求力アップを目的として、弊社「脳波測定/脳コン解析サービス」 をご利用頂いている。

 

閑話休題

 

14日にはナレーションの原稿と脳波グラフの添削依頼がADから届いた。スタジオ収録も控えているはずだから早急に添削と補足画像8枚を作成してその日のうちに返信した。

 

これはその中の1枚である。
202335oa08

 

寝返りした時にも目覚めにくいというエアウィーヴの特長が見事に観察された。

 

レム睡眠では、夢に反応して体動することを防ぐために、脳からの運動神経をオフにしている。ところがノンレム睡眠ではオンの状態だからむしろ頻繁に寝返りをする。この時に寝具のせいで目覚めてしまうのはもったいないのだ。

 

周波数帯域の区切りが編集者に正しく伝わっているか不安だったので、既にスタジオ収録も終わったであろう3月1日になっても補足資料として以下の画像を提出した。
202335oa09

 

そうして3月5日(日)のオンエアに至ったのである。

 

番組では「2分で入眠する」ことを快眠判定基準の一つにしていたが、もちろん普段はこんなに短い入眠潜時を目指す必要はない。こんなに早く寝落ちしたら、「お疲れなのですね」と評するのが普通である。

 

むしろ入眠潜時のアルファモードを大切に生かして欲しい。それを私がレクチャーしたセミナー動画を弊社サイトに掲載している。
https://selsyne.com/aim/audiovisual/contents/0085.mp4#t=603

 

オンエアはされなかったが、今回の実験で嬉しい副産物もあった。

 

それは、ヘッドスパを受けている最中のアルファ波が綺麗に測定できたことだ。春日さんがヘッドスパの施術者に心地よく身をゆだねていることが伺えた。

 

施術者が被験者に触れるとアーチファクトが混入してしまい綺麗な脳波が測れないものだが、その改善方法の可能性を感じさせてくれた。

 

そろそろ本稿を終えるが、執筆中には現在自由脳波研究中のジャズ音楽をBGMに掛けていた。とても良い気分だ。

 

次回はこのフルートジャズ音楽の脳波研究を紹介したいと思っている。

 

感謝!

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2022年9月 1日 (木)

vol.334 マッドサイエンティストの称号が嬉しかった、MBSの番組「日曜日の初耳学」で丸山桂里奈さんの入眠脳波を測定して。

先月28日にMBS(TBS系列)の番組「日曜日の初耳学」で私が脳波測定したシーンが放送されたので振り返る。

今回のテーマは「寝つきが劇的に良くなる『入眠グッズ』の紹介」で、その効果を検証するために元なでしこジャパン丸山桂里奈さんの入眠脳波を測定した。

桂里奈さんが横たわるベッドサイドへ行き脳波センサーを装着していると、桂里奈さんが語り掛けてきた。ここでいつも迷う。応じるとディレクターが「先生は話さないでください」と言ってくる番組もあるからだ。

でも今回は箍(たが)が外れた。本当に桂里奈さんの脳波に興味津々でワクワクしていたからだ。アスリートは尋常で無い集中力脳波を見せることがある。
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急に私の様子が変わったものだから桂里奈さんが「先生急にこわーい」と。自身が寝ているベッドの傍らで男が覆い被さるように豹変したら確かに怖いだろう。まがりなりにも男と女であった。
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このVTRを見ていたスタジオの人達から私に対する異名が飛び交った。
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林先生からは「脳波フェチ」とも。

例えば一晩中脳波観察をしているときも、変化する脳波を私は刻々と実況解説する。特徴的な脳波にワクワクするし、正確に脳波が測定できていることに安堵もする。それらを皆と共有したいからだ。

しかし、確かに一晩中脳波モニターを見ながら実況解説するのは狂気の沙汰かもしれない。

同番組からはこれまでにも睡眠脳波測定のオファーを何度かいただき、同じように実況解説している。それがスタジオでどの程度流されているのかは知らないが、たぶんそんな布石もあったのだろう。

私がマッドになるときは、エーちゃんの楽曲「PURE GOLD」を“マッドラー”と歌っているときぐらいだ。しかし、“マッドサイエンティスト”か・・・、なんか嬉しい。さっそく周囲からも呼ばれてからかわれている。

久しぶりに「PURE GOLD」を聞きながらこの原稿を書いている。

今回検証した快眠グッズは「アイスバッテリー」である。
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これを握って就寝する。

睡眠は軽い冬眠とも言える。温かかった体温が下がる過程でスーッと入眠する。
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今回の脳波測定に用いたモデルはフューテックエレクトロニクス株式会社製のBrainPro「FM-939」、解析ソフトは同モデルのオプション「Analyzer+」である。
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フューテックエレクトロニクス株式会社とのご縁は30年を越えたが、昨年同社の製品企画顧問を拝命した。これから益々ユーザーに喜んでもらえる脳波測定器の実現と普及に尽力していきたい。

今回のロケでも宝物を見つけた。この脳波は、桂里奈さんがアイスバッテリーを握って眠ったときの脳波だ。入眠一歩手前のうとうと状態にすぐなったのだが、私には気になることがあった。なぜだろう、なぜだろうと実況を繰り返した。
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その答えが桂里奈さんのロケ現場でのコメントで分かった。私が何に注目したのか、あなたはこの脳波をみて分かるだろうか?

快眠グッズ「アイスバッテリー」の効果がハッキリと脳波に表れてそれを実況解説できたことに感謝している。
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セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2021年12月 5日 (日)

vol.333 極寒極霧の屋外ロケ。TBS「水曜日のダウンタウン」で検証した脳の逆サプレッション機能。2021.12.5

今年9月に放送されたTBSテレビ「水曜日のダウンタウン」から、再び脳波測定協力のご用命を頂いた。その模様が今月1日に放送されたので振り返る。

ロケ地は茨城の工事現場で、テレビ番組で利用される有名な場所だ。ロケバスで到着した頃には夕焼けが支配し始めたのどかな風景で、この後に体験するノイズと極寒極霧の測定環境を想像することはできなかった。
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今回検証した説は、「めちゃくちゃうるさい所で寝てたら逆に静かになった瞬間目が覚める」である。
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事前の脳波測定テストでは、最上段の生波形に若干のノイズが混じっていた。センサーを短絡しているから、本来なら0Vライン一直線にならなければいけない。
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ただ、この程度なら睡眠判定に大きな支障は無い。

実験台はあかつさんである。この前に同番組の別ロケがあり、もう20時間起きていて軽い寝不足状態だそうである。
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「こんなの無理だよー、寝れないよー」とリアクションするあかつさんを布団に寝かし、頭に脳波センサーを着けた。寒さが徐々に増す中、エキストラによる妨害行動が始まり、もの凄い騒音と振動が現場に響き渡った。そんな中、検証開始である。
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「わっ、ノイズだ!・・・」モニター席に戻った私の口を衝いて出た。脳波測定断念も頭をよぎった。こんな波形では無理である。恐らく、発電機やランマからのノイズだ。

ディレクターもモニターをのぞき込んだ。
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そしてすぐに光明が目に入った。中段右側の分布グラフである。10Hz付近で綺麗に縦線を描き始めていた。これが閉眼安静時にでるα波である。そして、このα波が途切れた瞬間が寝落ちなのである。

生波形に表れた大きなノイズは30Hzを超える周波数だったため、分布グラフには影響しなかったのである。

縦軸は3分間で、途中から全周波数帯域(横軸、1.0Hz~30.0Hz)にノイズが混入しているが、これは被験者あかつさんがリアクション芸を演じているところで、脳波検証の必要がない場面だ。

ただ、とても眠れそうにない騒音と振動で、あかつさんのもんもんタイムが続いた。
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私は脳波測定グラフとあかつさんを映すモニター、そして現場も直接視認しながら実況を続けた。

入眠の瞬間も何度かあったがすぐに目覚める。一つの原因がランマの移動であるように感じたので、同じ場所に留まって妨害することなどを提案した。

そんな中、新たな不安要素が生じた。パソコンが霧でべちょべちょに濡れるのだ。画面は拭けば良いのだが、キーボードや端子もすぐにびっしょり濡れる。電流がショートしたら一巻の終わりである。あかつさんの横にセットしている脳波測定器も心配だったが祈るしかない。

そして30分が経過した頃、眠った!
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“熟睡”は大袈裟だが、確かに寝落ちした。

α波の沈静が十分に続いたのを確認し、“入眠”を宣言した。「寝ました、寝ました、凄い、寝ました」と。
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よくぞこの環境で眠った。

ディレクターが指示出しのためにクルー達の所へ駆け寄った。戻ってきたディレクターが「音声(スタッフ)も寝息が聞こえると言ってる」と教えてくれた。

ここから約30分経過を観察し、いよいよ検証である。

「めちゃくちゃうるさい所で寝てたら逆に静かになった瞬間目が覚める」のか。

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「音を消してから10秒以内に起きれば説立証」のルールだ。
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・・・8・・・7・・・6・・・5・・・4・・・3

起きた!
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もう脳波測定の裏付けは必要ない。起きたのだ。

音が消えたら起きる。こういうことは多くの人が経験しているだろう。

例えば、テレビをつけたまま寝落ちしたとき、家族がテレビを消すと目覚めた、などだ。

そのバラエティ版だったわけである。

最後にディレクターから嬉しい言葉を頂いた。

「脳波は信じてなかったけど、よく分かりました」

嬉しかった。

寒さに震えながら私も感謝の意を伝えた。

寝落ちの瞬間は脳波測定で一目瞭然なのである。

こんなロケだった。感謝!

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2021年9月20日 (月)

vol.332 本気チャレンジの遊びが、普段の脳波測定実験では得られない知見を提供してくれた。TBSテレビ「水曜日のダウンタウン」からのオファーを振り返る。2021.9.20

今月15日、TBSテレビ「水曜日のダウンタウン」で私が脳波測定協力したロケの様子が放送された。おもわず声を出して笑ってしまうほどの楽しい番組だったが、脳波の視点からは分かりづらかったと思うので、さっそく振り返りながら解説したいと思う。

 

ロケは7月31日から8月5日に掛けて赤坂のTBS社屋で実施され、4名のタレントさん(安田大サーカスの団長安田、サンシャイン池崎、オードリーの春日俊彰、マヂカルラブリーの野田クリスタル)の脳波を測定した。
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この件で初めて番組スタッフから電話を頂いたのが、ロケスタートの前々日7月29日。

 

ダウンタウンの冠番組からの問い合わせはこれまでにも何度かあるが、実現したことは無かった。恐らく今回も話しだけになるだろうと思いながら測定環境や受注条件などの摺り合わせをしたのだが、予想に反してすんなりと実施が決定した。

 

企画内容は、「滑車を通して頭上高く吊した“たらい”に結ばれたロープの一端を握って寝たとき、意思が強ければロープを手放さずに眠り続けられる」という説を検証したいというもの。

 

こんな説を誰が言っているのか? 無理に決まっている。入眠判定の指標の一つに筋肉の弛緩があるほどなのだから。

 

4年前に放送されたテレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」でも、スプーンを指に挟んで仮眠するとスッキリと目覚めることができるのかを検証した際に、私は脳波測定で立ち会っている。

 

その模様はブログ「vol.290 『仮眠のうまいとり方・・・。テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと。くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」からのご用命で。』 2017.5.30」で紹介している。

 

入眠と筋弛緩はセットなのである。

 

よって、ロープを握ったままだと入眠できない、入眠するとその瞬間に手が緩んでたらいが落ちる、そうなるだろうと予想してロケに臨んだ。

 

ところが、現場で渡された台本には、「入眠したら検証スタート」と書かれていた。

 

これでは、検証がスタート出来るか出来ないかという検証実験になってしまう。入眠しても実験が続くことはほぼあり得ないのだから。

 

スタッフにその旨を伝えるとすぐにディレクターを呼ばれた。

 

このグラフ(ディレクターにお見せしたグラフは90度回転した縦長のグラフだが)を示しながら、入眠判定の方法をディレクターに伝えた。ディレクターも事前にスタッフから報告は受けていたようだったが・・・。
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縦軸が周波数で脳波の帯域(α波やβ波など)を示し、横軸が時間で左から右に進む。

 

まず、目を閉じて安静にすると②以降のように1本の線が描かれる。この帯域がα波の一部である。α波が④以降のように途切れたら入眠と判定できるのであるが、実際には③から④までのようにα波の断続がしばらく続く。このようなα波の断続期間がまどろみ状態である。

 

番組でも例として出していた、「電車でつり革を持っていて、眠気でカクンッとなったとき・・・」というのは、このまどろみ中の一瞬である。

 

言うなれば、眠りと目覚めが頻繁に繰り返されている時間である。今回のロケでは、このまどろみに入ったことを以て入眠と判定することにした。そして実験中の薄暗いスタジオの中で、被験者がまどろみになって仮入眠したら私は右手を高く挙げ、目覚めたらその手を横に振るという(柔道の審判のような)動作を繰り返してディレクターに伝達した。

 

被験者からパーティションで隠された私の前には、脳波解析PCアプリ「AnalyzerPlus」と被験者の様子を映すモニターの2つが設置され、私は極々小さい声で被験者の脳波を実況し、刻々と変化する状況を詳細にディレクターやカメラマン達のイヤモニに伝えた。

 

これが「AnalyzerPlus」の画面である。
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放送で提示された脳波は赤枠部分だったが、入眠判定するために私が主に注目していたのは黄枠の分布グラフである。実際の分布グラフはこのように上から下に時間が進む(ただし、先に紹介したように90度倒した方が便利なので、変更をメーカーに提案している)。

 

今回の脳波測定実験は、私にも興味深い現象が幾つかあった。バラエティ番組ならではの本気の遊びモードによって獲得された、普段の実験では得難い知見である。

 

その一つを紹介しよう。被験者は団長安田さん。番組で私が解説した「寝ている状態と起きてる状態、この2つの脳波が同時に出てます」である。
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具体的に言うと、深い睡眠を示すδ波と、覚醒を示すα波が同時に継続して出たのだ。放送では紹介されなかったが、その時の分布グラフがこれである。
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分布グラフのおかげで、睡眠判定が随分楽になった。

 

ただし、判読ミスの落とし穴もあるので気をつけなければならない。

誤読の一つは、睡眠の浅いステージから中程度のステージに掛けて観察されることがある睡眠紡錘波(Sleep spindle)との混同である。

 

睡眠紡錘波は、α波とβ波の境界帯域辺りに出る波である。漸増漸減で短い時間観察される場合が多いが、特殊な状況では連続することもある。

下の分布グラフの12Hz~14Hzに現れているのが睡眠紡錘波である。4Hz以下がδ波だが、まだ3Hz未満が表示できない時代の測定のためδ波の大部分は表示できていない。別途、生波形でδ波が強く出ていることを確認している。もちろん被験者はグッスリと眠っていた。05

もう一つ判読ミスを犯してしまい易いのが、以下の分布グラフである。

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これは、目を閉じて安静にしている状態で目玉をキョロキョロと動かした場合である。δ波の帯域に大きな筋電ノイズが被っている。これをδ波とα波が同時に出ていると誤読してはならない。
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ノイズの有無は生波形を観て判断するのだが、ここでは詳細を割愛する。昨年、脳波測定器メーカーからの依頼で脳波測定/判読の初心者向け解説書「睡眠脳波読本 ~始めよう、睡眠脳波研究~」を制作したので、関心がある諸氏は参照されたい。

 

ところで、団長安田さんが上のような特異脳波を出した原因は何なのか、あなたは想像できるだろうか?

 

私は、測定モニターを観ながら小声で実況しているときには分からなかった。δ波とα波の帯域に1本ずつ、まるで轍(わだち)のように描かれる分布グラフを目の当たりにして、睡眠と覚醒の脳波を同時に出す団長凄い、と思っていた。

 

この不思議は、実験が終わって団長からセンサーを外しているときに発せられた団長の言葉で解消した。団長は、この測定の前にあることをしていたのだ。

 

不思議な脳波を出したその原因を番組スタッフに伝えたが、放送では触れられなかったのでここでも言及はしない。団長、さすがである。脳波セミナーで話すネタをまた一つ提供してくれた。

 

最後に登場した野田クリスタルさんは、絶対に眠らなければならないというプレッシャーから、飲めない酒を飲んで土壺にはまった。

 

寝酒が及ぼす快眠阻害作用は、本ブログ前号の「vol.331 寝酒がモンモンタイムを誘発するメカニズム。脳波観察と化学反応で考える。2021.7.14」で述べている。

 

松本人志さんが今回の結果を評した「四者四様」の言葉通り、4名それぞれが興味深いチャレンジと脳波を見せてくれた。

 

前述の「睡眠脳波読本」制作を切っ掛けに昨年開設した「睡眠脳波ラボ」は、昨今の睡眠ブームの波に乗って益々発展する様相である。

 

テレビ番組では今回初めて私の肩書きを「睡眠脳波ラボ 室長」と紹介して頂いた。
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ロケとロケの間が中途半端な時間のときには、自宅に帰らずTBS近くの簡易宿泊所「ファーストキャビン赤坂」に部屋を取り、仮眠や軽食、オリンピック観戦で寛いだ。
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今回もOA映像から13枚の画像をピックアップして、テレビ番組協力実績紹介ページに掲載させて頂いた。

 

感謝

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2020年12月18日 (金)

vol.325 目覚めが悪い芸能人を起こす方法の第二弾。毎日放送「林先生の初耳学」からのオファーで“わさび臭”の目覚まし効果を検証。

前号『目覚め方のコツと重要性。毎日放送「林先生の初耳学」~誰でも起きられる目覚まし音を作れる?~で、終夜睡眠脳波を測定して』にて紹介した番組の第二弾が今月6日に放送されたので振り返る。

 

前回、特殊な警報音でも目覚めなかった松丸亮吾さん。彼を起こすために名乗りを上げたのが滋賀睡眠クリニックの今井眞院長だ。
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起こす手段は“臭い”だ。

 

臭いが人にどのような影響を及ぼすのかを調査した脳波研究は過去にごまんとある。

 

私も例えば、以下のような実績があり枚挙に遑が無い。

 

筑波大学大学院の生命環境科学研究科が実施した研究「大自然の土壌に触れ/嗅ぐことが人の精神活動にどのような効果をもたらすのか」をサポート。

 

(一社)日本メンタルアロマ協会と「香りに対する反応や感情を手掛かりに無意識を探究し、問題解決や自己実現のヒントに気づくメソッドの効果測定」を協同研究。

 

読売テレビ「かんさい情報ネットten」のカラクリコーナーからのオファーで「バラの香りが人に及ぼすリラクゼーション効果」を検証、等々だ。

 

目覚めた直後に臭いを嗅がせて気分を誘導しようとする研究もある。

 

しかし、“目覚めの悪い人を臭いで起こす”という発想はなく、当然そのような脳波測定経験もなかった。
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ところが、今井先生のチームではこれまでに“臭いで起こす研究”を進めてこられて、そのユニークな研究成果で2011年にはイグ・ノーベル賞を受賞されたそうだ。

 

聴覚に障害がある人にも危険発生の警報を届ける手段としても既にホテルなどに導入されているとのこと。なるほど・・・
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今回の実験では、三段階の臭いが用意された。

 

「好きな朝食のにおい」「生ごみの悪臭」そして「わさびの刺激臭」だ。
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松丸さんの好きな朝食は、架空医療番組の事前アンケートで分かっている。
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目覚めさせ方のポイントは“確実性”と“爽快性”の両立である。

 

好きな朝食のにおいが漂う中で目覚められたら、気分爽快で一日のスタートを切ることができるだろう。

 

今回の臭いの最終兵器はわさびの刺激臭である。これには意味がある。

 

単に激辛臭で叩き起こすなら、唐辛子に含まれるカプサイシンがある。ところが、このカプサイシンは親油性であるために舌などの口腔に長く残る。早く洗い流すためには、脂肪分を多く含むヨーグルトなどを食べる必要がある。

 

一方、わさびの辛味成分であるアリルイソチオシアネートは揮発性が高く、すぐに鼻腔をツーンと抜けて辛さ(痛さ)が尾を引かない。よって、部屋を漂うアリルイソチオシアネートさえ無くなれば、或いは自身が部屋を出さえすれば辛さは解決するという大きな利点があるのだ。

 

脳波の分布グラフで、睡眠状態を以下のように判定する。
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前回の振り返りでも述べたように、番組の趣旨として「普段通り充分に寝た朝方に覚醒させる実験」なので、上段の熟睡脳波グラフの一番左のデルタ波帯域の電位はそれほど高まらない(赤くならない)。

 

デルタ波(徐波)の強さで睡眠深度を測るというよりは、REM睡眠だから目覚めにくい(熟睡)という判断である。

 

また、下段の起きている脳波グラフのデルタ波帯域が赤くなっているが、これはデルタ波が強く出ているのではなくて、目覚めて表情筋が緊張したために同帯域に生じた筋電ノイズである。

 

今回の松丸さんは、ベッドで30分程読書した後にすんなり入眠した。

 

次のOA画像の脳波は、睡眠のいわゆる90分サイクルを何回か繰り返した後のものだ。デルタ波モードでありつつ、アルファ波とベータ波の境界付近にも電位が立っている。睡眠紡錘波(Sleep spindle)と呼ばれる脳波で、外的刺激(騒音など)をキャンセリングして睡眠を維持しようとするときにも観察される。

 

この帯域の脳波が目覚めているときに出ると、いわゆるゾーン状態で物事に集中していることを示すものだ。
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睡眠実験やテレビ番組のロケでは、被験者が緊張して綺麗な睡眠脳波が取れないこともある。例えば、デルタ波の電位が低かったり、ベータ波がうっすらとチラチラ出続けるなどだ。

 

前回のプロレスラー天山広吉さんは、深酒で一度は気絶するように眠ったものの、それ以降は眠れずに朝までモンモンとしていた。

 

そして今回のもう一人の被験者であったりんごちゃんは、ベッドに就くことすらできなかった。
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松丸さんの睡眠サイクル1回目の徐波睡眠がこれである。素晴らしい熟睡だ。この睡眠脳波グラフにも惚れ惚れした。
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さて、松丸亮吾さんを今回は目覚めさせることができたのか? 

 

OA動画が番組の公式YouTubeチャンネルに「芸能界イチ起きられない男・松丸亮吾をわさびで叩き起こす!!」のタイトルで公開されている。ただし、タレントさん達のスタジオトークやワイプ抜きが無いバージョンだ。

 

前回はアパホテル〈六本木SIX〉、今回はアパホテル〈新宿 歌舞伎町タワー〉の1フロアを借り切ってのロケだった。心遣いが行き届いたアパホテルいいよねー。準備万端整ってからロケ開始の合間に、元谷芙美子社長の著書も拝読した。
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これまでの「テレビ番組協力実績」紹介ページ

 

感謝。

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2020年9月11日 (金)

vol.324 目覚め方のコツと重要性。毎日放送「林先生の初耳学」~誰でも起きられる目覚まし音を作れる?~で、終夜睡眠脳波を測定して。

先月30日、毎日放送(TBS系列)「林先生の初耳学」で私が終夜睡眠脳波を測定した模様が放送されたのでいつものように振り返る。

 

番組ADから初めて電話を頂いたのが8月10日。「緊急地震速報のアラーム音を作ったサウンドデザイナーが新たに開発した目覚まし音なら、どんなに寝起きが苦手な人でも起きることができるのかを調べたい」とのこと。

 

翌11日10時、Zoomを利用してディレクターとサウンドデザイナー、AD、私の4人でリモートミーティングをした。

 

サウンドデザイナー小久保隆氏が今回開発された目覚まし音は、脳を段階的に無理なく目覚めさせるために4ステップの音を設定しているとのこと。

 

第一段階は右脳に寄り添う自然音、第二段階は優しい言葉で母に起こされるようなメッセージで左脳を、第三段階は両脳を刺激するミックス音、そして第四段階がスウィープ音だそうだ。

 

もちろん、大音量で叩き起こすなら簡単だ。しかしそれでは、スッキリと気持ちよく目覚めさせたとは言えない。「スッキリと気持ちいい」感がなければ、“覚醒の拒否反応”が起こって二度寝したくなる。

 

脳波研究家としての立場から予見を求められた際、「同質の原理」の重要性を発言する中で閃いたのが、この“覚醒の拒否反応”というワードである。

 

1時間半ほどのリモートミーティングで、この閃きが一番嬉しかった。オンエアでも、「いきなりベルの音が鳴ると目覚めの拒否反応が出て二度寝の原因にもなる」とテロップとナレーションで紹介された。

 

日頃、人生成功や自己実現をサポートする中で一部のクライアントに感じていた“成功の拒否反応”が閃きに影響したと思われる。

 

第四段階のスウィープ音のスウィープとは、「一掃する(sweep)」という意味だ。しゃくり上げるような人工音が何度も何度も繰り返される。そしてそのテンポが途中で速くなる。

 

これらの目覚まし効果については、昨年10月にオンエアされたTBSラジオでも私が解説している。ブログ『朝スッキリと素早く目覚める絶妙の楽曲を紹介。TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」からオファーを頂いて。』

 

さらに、寝ているときに脳がノイズキャンセリングする機能とその脳波についても、弊社ウェブサイト「睡眠脳波の測定/解析例」に掲載している脳波の分布グラフを案内しながら言及した。波形の名は睡眠紡錘波(Sleep Spindle Wave)で、目覚めているときに出れば、アスリートなどがいわゆるゾーンに入った変性意識状態で、驚異的な集中力でハイパフォーマンスを発揮する。

 

 

今回のロケ中にも被験者から幾度となく睡眠紡錘波が観察されその都度解説したが、テーマから逸れるので番組内容には含めないとディレクターから言われた。限られたオンエア時間だから仕方ない。

 

睡眠紡錘波は睡眠の中程度の深さで観察される脳波で、廊下を歩くスタッフの足音などに反応して生じた。

 

今回のロケで用いた脳波解析PCソフトは「アナライザープラス」である。画面中段右の分布グラフが睡眠深度の観察に威力を発揮する。素人が観ても分かり易いだろう。
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睡眠ステージの評価基準(分布グラフの見方)画像を、以下URLに掲載している。
https://selsyne.com/aim/nowhadas/SleepEEG/bunpugraph-kaisetu2018.1.11-3.jpg

 

オンエアではこの分布グラフだけに注目して解説したが、私がロケ現場で評価する際には上段の生波形が重要な指標となる。睡眠深度毎の特徴的な波形が時折あるし、何よりノイズ混入(特に被験者の表情筋から生じるアーチファクト)の判別に必要なのである。上の参考画像では綺麗なα波が表示されている。

 

また、生波形エリアの下の全時間折れ線グラフも有用である。アナライザープラスは10時間の連続測定が可能であるが、今回は1時間毎に測定データを保存しながら進めた。万が一測定データを消失してしまうアクシデントの損失を小さくするための策である。

 

全時間折れ線グラフの時間経過は左から右に進む。参考画像では、測定を始めてから5分程は動いていたために、折れ線グラフのδ波(ピンク)がノイズの影響で強く(高く)表示されている。そのδ波は程なく沈静化し、20分辺りから再びパワーを増してきている。すなわち睡眠深度が深くなっていることを示している。

 

δ波の減増(睡眠深度の浅深)は、いわゆる90分サイクルで繰り返される。δ波が生波形の7割以上を占めれば、最も深い睡眠ステージだと判定して良い。
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小久保氏が開発された目覚まし音を鳴らすのは、被験者が最も深い睡眠になったときだ。しかし、最も深い睡眠は最初のノンレムで現れるのが普通である。今回のロケでは、被験者が十分に寝て、その上で朝方の睡眠が深いときに実験したいとの番組制作側からの要望だった。日常の寝起きを再現したいのだから当然といえば当然である。

 

レム睡眠のときの方が起こされにくい場合もあるが、これは被験者が夢に夢中だからだと私は考えている。目覚まし刺激が夢に同化して渾然一体となるため、そのまま夢を見続けるのだ。そしてもう一つ、ノンレム睡眠時よりも筋肉が弛緩していて身体が殆ど動かない状態であることも大きな要因であろう。これらの理由で目覚めが遅れるが、脳波の睡眠ステージとしては浅いと私は評価する。

 

ロケは、アパホテル〈六本木SIX〉のワンフロアーを借り切って行われた。
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今回被験者となったタレントは3名。

 

番組で登場した順に紹介すると、一人目はギャル界の寝坊女王ことゆきぽよさん。番組で紹介された通りすぐに強いαモードとなり、それが4分程続いた後にα波がぷつりと途切れた。この瞬間が入眠である。

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そして5時間の睡眠後、δモードの深い睡眠であることを確認していよいよ目覚まし実験である。

 

結果は、自然音に右脳が反応して弱いαモードが数分間続いた後に目覚めた。

 

ディレクターが部屋に入り本人にインタビューすると、ゆきぽよさんは時計を確認して「えっ、最悪 最低 5時53分じゃん!」と早く起こされた不満を口にした。しかしその後すぐに、「えっ、でも違う。いつも起きる5時と全然違う。すごい、初めてかも、目覚まし一発で起きたの」と実感を述べた。

 

次の被験者は、寝たら起きないプロレスラーの天山広吉さんである。放送された通り、リモート飲み会で酒をたらふく飲んでベッドに就いた。いつも私が言うことだが、適量を超えた飲酒後の睡眠は気絶(少々大袈裟な表現)である。

 

α波の消失と出現を短いスパンで繰り返し、一番長く20分程ノンレムが続いた後に覚醒してからはもう入眠することが無かった。そこから約6時間半のモンモンタイムはさぞかし辛かっただろう。

 

一週間後に追加ロケした際には寝酒を控え、入眠と覚醒実験も無事成功したのはオンエアの通りである。

 

最後の被験者は、謎解き王の松丸亮吾さん。子供の頃からの寝坊癖で、初めてのテレビ出演の際にも1時間遅刻して番組スタッフを待たせたのだそうだ。

 

松丸さんに脳波センサーを装着してからモニタールームに戻り、さっそく脳波測定を開始した。23時37分だ。するといきなりα波のような生波形が現れた。松丸さんを映すモニターを見ると太極拳のような体操をしていた。十数秒のことだったろうか?

 

分布グラフに目をやると、14.5Hz(画像赤丸の中心点)が一瞬強く出ていた。α波とβ波の境界付近のβ波だ。数十秒後、さらにα波寄りの波が出た。この時にはもう体操は終わっていたと思う。分布グラフでは赤丸のすぐ下のか所だ。目を開けて動き回っている状態でこのような脳波を捉えるのは珍しい。かなり集中力が高いとみた。
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この集中力が後に衝撃の実験結果をもたらすことになる。

 

松丸さんは部屋にリモートゲーム環境を構築し、友達と対戦ゲームを始めた。やっと就寝したのは4時22分だった。脳波測定を開始するとノイズが大きい。長時間ゲームに興じたために、眼筋が微かに痙攣しているようだった。これはちょっとよろしくないが、しばらくするとノイズも収まってきた。

 

そして8時、目覚まし実験のスタートだ。

 

目覚まし音の第一、第二と進むにつれてこのような脳波が出現し、睡眠ステージが中程度にまで浅くなった。このスピンドル波が、睡眠が継続するか覚醒するかの分岐点だ。さー、スピンドル波の盾は目覚まし音にはじき飛ばされるか、それとも防ぎきるのか?
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そして第三段階、スピンドル波は消えて深い睡眠に戻った。第四段階のスウィープ音を鳴らしても脳波は深い睡眠状態であることを示し続けた。

 

睡眠も集中だ。松丸さんは凄まじい集中力を持っていた。

 

 

今回のオンエアでは採用されなかったが、私がインタビューに答えた内容を以下に記しておく。インタビューを横で聞いていたサウンドデザイナー小久保氏も賛同してくださった。

 

「オレキシンの分泌によって私達は目覚めます。その際、オレキシン+セロトニンで安らぎモードの覚醒となり、オレキシン+ドーパミンで熱中モードの覚醒、オレキシン+ノルアドレナリンでは闘争モードの覚醒になります。同質の原理を使って目的の目覚め方を実現する小久保先生のお考えは理に適っているし、とても重要なことなんです。」

 

目覚め方、そして目覚めたときの精神状態は重要である。ただの大音量アラームで起きてしまっては、αモードをすっ飛ばしてしまってもったいなさ過ぎる。起床時にαモードを数分間維持する時間を脳のゴールデンタイムと言って、その重要性はこのブログでも再三発信してきている。

 

8月に嬉しいことがあった。NTTレゾナント社が運営する「教えて!goo」のライターから取材を受けて私が回答した「脳波研究家に聞いた!本を読んで眠くなるとき、ならないときの違いとは?」の記事が、同サイトの人気記事ランキングの「ライフ」カテゴリーで1位、総合で2位を獲得した。先ほど紹介した神経伝達物質の違いによる精神状態の違いにも触れているので紹介する。掲載URLは以下の通りである。https://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/2aaf05344064f2583a49432924888c6b/


 

閑話休題

 

今回の番組を局がYouTubeの公式チャンネルにタイトル「誰でも気持ちよく起きられる!?最強目覚ましアラームを作ってみた!」でアップされている。ただし、スタジオで観ているタレントさん達のワイプ抜きは無いバージョンだ。
https://youtu.be/SAaymzuKK4o

 

また、今回の放送で利用された目覚まし音が各種音楽配信サービスからダウンロード(有料)できる。iTunesサイトではダウンロード数がベスト10入りしたそうだ。ダウンロード方法などの詳しい情報は、番組HPに掲載されている。

 

撤収作業のためにモニター室に戻ると、小久保氏と私をねぎらうメッセージが置いてあった。松丸さんのマネジャーからだ。

 

控え室も用意していただき、快適で楽しい「脳波測定/脳コン解析サービス」の実施となった。
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感謝。

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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2020年8月30日 (日)

睡眠脳波測定で証明したマッサージの快眠効果、デルタ波の出現期とパワーの違い。テレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」にて。

今月13日(木)にテレビ朝日「日本人の3割しか知らないこと くりぃむしちゅーのハナタカ!優越館」で、私が脳波測定したシーンが放送されたので、いつものように振り返る。

 

今回の件で初めて連絡を頂いたのが7月20日、AP(アシスタント・プロデューサー)からのメールだった。

 

同番組からのオファーは4年前の2016年からこれまでに4回頂いた。初めの2回は、「玉ネギ臭の快眠効果」、「スプーンを用いたうまい仮眠のとり方」で、いずれも脳波測定をした。

 

後の2回は、「暗算しながら正座すると足が痺れない」、「『赤いきつね』と言いながら『緑のたぬき』とスマホに打つのは難しい」で、そうなる理由を私なりに脳機能の見知からコメントした。

 

5回目となる今回のテーマは「快眠に誘うマッサージの効果」を睡眠脳波測定で検証するというもの。久しぶりの脳波測定だ。番組も200回記念だそうだ。

 

脳波測定以外で呼んでもらったときは仕事の場が広がったようで嬉しかったが、今回は脳波測定でやはり嬉しかった。なんでも嬉しいのだ。声を掛けてもらえるということは・・・

 

撮影は8月3日(月)、多摩川近くのハウススタジオで行われた。
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今回は、測定目的と測定環境に鑑みFzという部位に電極を置いた。電極配置の「国際脳波学会が提唱する10-20法」を弊社ウェブサイトに掲載している。

 

被験者の頭に白いガーゼが見える部位がFzだ。
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睡眠ステージ(深度)は、このOA画面左側の分布グラフで観察する。上に見える生波形もノイズ混入を見極めるために重要だ。

 

分布グラフは、縦軸が上から下へ時間の経過で、リアルタイムから過去3分までが表示されて1秒毎に進んでいく。横軸は1Hzから30Hzまでを表示している。小さくて見えにくいが、横軸には周波数が1、5、10、15、20、25、30と書かれている。

 

快眠マッサージを受けた被験者は程なくして中程度の睡眠(ステージ2~3程度)に入った。しかし、リアルタイム(最下)から数十秒前にデルタ波は途切れ、10Hz付近のアルファ波モードに変わった。これは、一瞬目覚めたことを示している。

 

廊下を挟んだ向かいの部屋に置いた「脳波解析画面」と「被験者を映すモニター」を観察しながら、刻々と変化する睡眠の様子を私は実況した。
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睡眠深度が深まったことを私がファルセットのような声で告げると、ディレクターとカメラマンが色めき立つ。私達のざわつきが、離れた部屋で眠る被験者の脳波に影響する。その瞬間を捉えたのが上の分布グラフだ。

 

ざわつきによって覚醒することもあれば、脳のノイズキャンセリング機能によって眠り続けることもある。この反応は、アルファ波とベータ波の境界あたりに出現する脳波で判別できる。
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就寝前の快眠マッサージありなしで、脳波はこの様な違いを見せた。睡眠マッサージありの方が断然デルタパワーが強い。すなわち、睡眠が深く熟睡したと言える。

 

ディレクターが「15分ものですよ」とつぶやいた。睡眠脳波測定中にそれだけ沢山の興味深いイベントがあったので、15分コーナーに拡大しても良い程という意味だ。嬉しかった。

 

テレビ番組に協力した際には内容に不本意な部分もありがちだが、今回はロケ後の編集作業中にもAPから、或いはAPを通じて何度かテロップやナレーションの確認を依頼された。おかげで「あちゃ~」という部分も無く、静かな達成感を得ることができた。 

 

また、私が提出した図「睡眠深度ダイヤグラム」を元に、番組で睡眠の90分サイクルが動的かつ綺麗に紹介された。
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これを機に、同図をリニューアルして弊社ウェブサイトの「睡眠脳波ラボ」に専用のページを新設して掲載した。
Sleepdiagram2020812600

 

個人個人で、そして体調によっても大きく変化する睡眠浅深周期を観察することで、睡眠の質がよく分かる。新たな知見も得られてきているので、今後はこのページも充実させたいと思っている。

 

いつものように「テレビ番組協力実績」紹介ページに、OA画像を13枚掲載させて頂いた。感謝!

 

 

今晩(30日22時)、毎日放送(TBS系列)の「林先生の初耳学!」で、同じく私が睡眠脳波を測定し解説したシーンがOAされる予定だ。無事放送されたら本ブログで振り返りたいと思っている。

 

 

セルシネ・エイム研究所 和田知浩

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